2025年09月21日

Through the Open Window: The Bootleg Series Vol. 18発売前雑感その2

 当ブログでは4年前に『ボブ・ディラン・センターが新たに入手したテープの詳細』という記事を掲載しましたが(今思うと全然「詳細」じゃない)、Vol.18にはこのマディソン・テープスが収録されるようです:

マディソン・テープス

2巻のオープンリール・テープには、1960年から61年にかけての冬頃、ミネソタからグリニッジヴィレッジに行く途中、ウィスコンシン州マディソンのフォーク/ブルース・ミュージシャン、ダニー・カルブのアパートメントで録音されたボブ・ディランの演奏が収録されています。約90分のレコーディングの1巻目には19歳のディランによる20曲以上の演奏が収録されており、その内訳はウディー・ガスリーの歌6曲の他、ジミー・ロジャーズ、スタンリー・ブラザーズ、リトル・ウォルター、ピート・シーガー、ビッグ・ビル・ブルーンジーの名曲などです。
 この演奏を録音したのはジェフ・チェイスというミュージシャンです。
 2巻目は、1960年から61年にかけての冬頃に、ディランと友人たちが何らかの集まりでフォーク・ソングを演奏している様子を収録したマディソン・パーティー・テープです。これら2巻のテープに収録されているレコーディングは、ディランの歴史においてギャップだった部分を埋め、アーティストとしての成長過程に光を当てた重要な記録です。


East Virginia Blues (Informal Recording, Madison, WI, 1960)
K.C. Moan (Informal Recording, Madison, WI, 1960) Bob Dylan with Danny Kalb
Hard Travelin’ (Informal Recording, Madison, WI, 1960)Bob Dylan with Danny Kalb

 この3トラックがそのようですが、約90分、20曲以上の中からたったこれだけです。友人とレコード屋で作ったSP盤からも1曲のみの収録なので、今回は最初期音源サンプラー的な趣なのでしょう。
 アマチュア時代のお友達録音は、1960年代末のTMQの時代から知られており、その後、新音源が発見されて海賊盤に収録されたり、研究者が自著に新データとして記したりするたびに、テキトーな名前がつけられてきたため(「どこどこパーティー・テープ」「誰々のアパートメント・テープ」など。どれも正確な日時は不明)、私の粗末な脳味噌ではきちんと把握出来ていません。今回のリリースで、しっかりと整理されることを切に希望します。

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 (Deluxe CD) - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 (Deluxe CD) - Bob Dylan

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights - Bob Dylan

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights (Vinyl) [12 inch Analog] - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights (Vinyl) [12 inch Analog] - Bob Dylan
ラベル:海賊盤
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2025年09月19日

Through the Open Window: The Bootleg Series Vol. 18発売前雑感その1

 10月に《Through the Open Window: The Bootleg Series Vol. 18》が発売されることが正式に発表され、いくつかのサイトに曲目が掲載されました。ボブの駆け出し時代からフォークのプリンスとなるまでの音源がCD8枚に収録されるようです。まずはDisc 1の1曲目がこれ:

1. Let the Good Times Roll (Terlinde Music Shop, St. Paul, MN, 1956)

 ビートルズがまだクオリーメンだった頃、メンバーで金を出し合って地元のスタジオでSP盤を作ったことは有名ですが、ボブも同じことをやっていました。ボブの旧友、ルイ・ケンプが出版した回想録『Bob and Me』(通称オレオレ本)第3章には、1956年のクリスマス・イブに、ボブはラリー・キーガン、ハウイー・ラトマンとセントポールにあるターリンド(ターラインド?)楽器店に行き、店員に5ドル払って、78回転SP盤を録音したと書いてあります。ボブがピアノを弾き、3人で〈Be-Bop-A-Lula〉〈Earth Angel〉〈Ready Teddy〉〈In The Stll Of The Night〉〈Let The Good Times Roll〉〈Lawdy Miss Clawdy〉を歌ってるらしいのですが、この音源から1曲しか発表されないのは、いきなり出し渋りじゃないか!
 SP盤はしばらくラリーが持っていましたが、彼に頼まれてルイが銀行の貸金庫で保管していたそうです(今はタルサにあるのかな?)。

 ルイに関しては、当サイトでは次の記事を掲載しています:
ボブとの思い出話を出版した旧友のインタビュー
マーロン・ブランド、ボブ・ディランと出席した過越の祭
ボブ・ディランと一緒に来日した水産加工業者
リヴォン・ヘルムの真後ろから1974年ツアーを見ていた男

 ボブのヴィレッジ時代に関しては、しばらく前からニューヨークのコレクター/研究家が中心になって、1960年代前半にファンがラジオ番組を録音したり、クラブにレコーダーを持ち込んで客席で録音したりしたテープの調査を行なっています。当時、フォーク界隈では演奏の客席録音は咎められなかったので、レコーダーを持ち込んでいた人が少なからずいたそうです。フォーク・ファンはロック・ファンよりも年が上で金も持っており、レコーダーの所持率も高く、だからこそ、駆け出し時代の音源がビートルズの何倍も残っているのです。
 調査グループは、たとえ別の人の歌が目的で録音したものであっても、残りの部分に偶然ボブの演奏が入ってはいないかと、調査対象を広げています。そんな中で発見されたのが、〈Times〉と〈Ship〉を女性とデュエットしている音源なのですが、15年ほど前に私が聞いた話だと、女性は誰だか不明なのだとか(今は判明しているのでしょうか?)。Vol.18の曲目を見る限り、残念ながら、この2曲は含まれていないようですが、チームの別の成果がCD8枚のどこかに収録されていることを期待しています。

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 (Deluxe CD) - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 (Deluxe CD) - Bob Dylan

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights - Bob Dylan

The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights (Vinyl) [12 inch Analog] - Bob Dylan
The Bootleg Series Vol. 18: Through The Open Window, 1956-1963 Highlights (Vinyl) [12 inch Analog] - Bob Dylan

Dylan & Me: 50 Years Of Adventures (English Edition) - Kemp, Louie, Friedman, Kinky
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2025年06月08日

1974ツアーのダブル・ドラムの曲

 今は昔、2009年に《Before The Flood》のリマスターCDが発売されて、このアルバムをあらためてじっくり聞いてみる良い機会となった際に、〈Thin Man〉のドラムだけダブルで聞こえるような気がしました。ボブがピアノを弾きながら歌う曲なので、リチャード・マニュエルが自分の楽器をボブに譲ってドラムに回った可能性は大ありです。しかし、それまでに私が読んだどの本にも、ボブのセットの曲でリチャードがドラムを叩いてる曲があるとは書かれてないので(あくまで私のごく限られた読書、および、その粗末な記憶の範囲内では)、知人に意見を求めたところ、大した返事はなかったので、この疑問はそのまま忘れてました。ところが、《The 1974 Live Recordings》の解説ブックレットで、実際にシカゴ公演を見たヘッケルさんがツアー初日(1/3)の思い出としてこんなことを書いてたので(しかも、〈Hero Blues〉とは超予想外)、10数年ぶりにこの件を思い出しました。
Hero.jpg

 印刷媒体でダブル・ドラムに言及しているのは、この解説ブックレットが世界初でしょう。ネットでも見かけません。ツアー以後の50年間、誰も書いてなかったと思います。(この本にあったよ、このサイトにあ るよというデータをお持ちでしたら、是非教えてください)
 ということで、ドラムに注意しながらCD全27枚を聞いてみたところ、1公演あたり2曲ほどでリヴォンとリチャードによるツイン・ドラムが聞こえてきます。以下は調査結果なのですが、コンサートによっては50年以上前の簡易録音ゆえ、ボード音源ではあるものの音質やテープの状態がベストではなく、判断が困難なトラックもありました。何らかの理由でリチャードのドラムのマイクがオフになってたケースもあるかもしれません。私のその日の体調や気分で、ひとりに聞こえたりふたりに聞こえたり…(もはや幻聴?)。
 これもドラムがダブルだ、いや、これはリヴォンひとりだ等、皆さんの意見も聞かせていただけたら幸いです。

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1月3日 シカゴ
なし。このショウだけモノラルで、音の分離の点で最も問題のある音源なので(しかも、ヘッケルさんの目撃証言あり)、20回くらい聞いた上での結論です。〈Hero Blues〉ではうっすらピアノの音が聞こえるので、リチャードはドラムではないでしょう。他のトラックもドラムがダブルで聞こえるものはありません(私の耳には)。なので、解説には1/4のコンサートのことが混じってると思います。

1月4日 シカゴ
〈Hero Blues〉
〈Thin Man〉


1月6日(昼) フィラデルフィア
〈Hollis Brown〉
〈Thin Man〉


1月6日(夜)フィラデルフィア
なし?

1月07日 フィラデルフィア
〈Tom Thumb's Blues〉
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉


1月09日 トロント
〈Thin Man〉?
〈Hollis Brown〉?


1月11日 モントリオール
〈Hollis Brown〉

1月14日昼 ボストン
〈Hollis Brown〉

1月15日 ラーゴ
〈Hollis Brown〉

1月16日 ラーゴ
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉


1月17日 シャーロット
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉


1月19日昼 ハリウッド(フロリダ州)
〈Hollis Brown〉
 このショウは〈Watchtower〉以後しか収録されてないので、〈Thin Man〉については判定不能です。

1月21日 アトランタ
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉


1月22日 アトランタ
〈Thin Man〉?
〈Hollis Brown〉


1月26日昼 ヒューストン
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉


1月26日夜 ヒューストン
〈Hollis Brown〉

1月30日 ニューヨーク
〈Hollis Brown〉
 この公演以後は、いくつかのショウを除いてマルチトラックで録音し、丁寧にミックスしているようで、格段に音質が良くなります。〈Hollis Brown〉の演奏後、ボブが「That 's Richard Manuel on drums」って紹介してます。


1月31日昼 ニューヨーク
〈Hollis Brown〉
〈61〉


1月31日夜 ニューヨーク
〈Hollis Brown〉
〈61〉


2月09日昼 シアトル
〈Hollis Brown〉
〈61〉


2月09日夜 シアトル
〈61〉
 このショウは〈Times〉以降しか収録されてないので実際に音源を聞いて確認することは出来ないのですが、おそらく〈Hollis Brown〉はダブルでしょう。

2月11日昼 オークランド
〈Hollis Brown〉
〈61〉


2月11日夜 オークランド
〈Hollis Brown〉
〈61〉
〈Maggie〉


2月13日 ロサンゼルス
〈Hollis Brown〉
〈61〉?


2月14日昼 ロサンゼルス
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉
〈61〉

 《Before The Flood》に入ってる〈Thin Man〉はこのショウの演奏です。今の耳で聞くとドラムはツインです。前後のトラックのスネアの音と比較すると、違いは明らかです。


2月14日夜 ロサンゼルス
〈Thin Man〉
〈Hollis Brown〉
〈Maggie〉?


 いかがでしょうか。

 リチャードのドラム・セットはどこにあったのかというと、客席側から見てリヴォンの右側です。こんな写真がありました。
levon manuel.jpg

 また、1974年9月14日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行なわれたCSN&Yのコンサートの前座をザ・バンドが務めた際の映像には、こんなシーンがありました(曲は〈Mystery Train〉。0:58:12から始まってます)。以上のトラックもそうなのですが、リチャードはリヴォンの先導でバンド全体のテンポが定まるのを待って、ドラムを叩き始めてるようです。



レコード・コレクターズ 2025年06月号(19637) - 楽譜ネッツ
レコード・コレクターズ 2025年06月号(19637) - 楽譜ネッツ
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タルサのボブ・ディラン・センター、ウディー・ガスリー・センター、チャーチ・スタジオに関する記事を書きました。


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2025年03月04日

『マジック・イヤーズ:魔法があった』ー我がロックンロールライフの回顧録 - ジョナサン・タプリン

 秘宝の記事には未邦訳って書いちゃいましたが、『Magic Years』は邦訳が1年前に出版されてました。
 イライジャ本より数年後に出た本なので、それには載ってない'65年ニューポートの目撃談も載ってます。必読。アルバート・グロスマンはどちらかというと悪徳マネージャーというイメージが作られ、実際、ボブと縁が切れた後も、契約の条項を盾に、多額の金が自分のところに回ってくるようにしてたなんてことが知られてますが、ジョナサンはグロスマンから芸能マネジメントのイロハを学んだ人物ゆえ、悪口は一切書いてません。むしろ、芸能界・レコード業界をマフィアから切り離そうと努力した人だと評価してます。(私が思うに、それがブートレッグがはびこる原因の1つになったと思われる)
 でも、一番笑って読めたのが《Exile On Main St》のジャケットの件。薬中が嫌いなので1972〜73年ツア・マネの仕事を断った後、ミックからロバート・フランクを探せって命じられて、ものすごく苦労したこと、フランクを見つけてロスに呼んだものの、こいつ全然仕事をしなくて困ったことが書かれてます。

このページでサンプルが読めます:
https://store.voyager.co.jp/publication/5960000000496
 
『マジック・イヤーズ:魔法があった』ー我がロックンロールライフの回顧録 - ジョナサン・タプリン, 御影雅良
『マジック・イヤーズ:魔法があった』ー我がロックンロールライフの回顧録 - ジョナサン・タプリン, 御影雅良

ボブ・ディラン 裏切りの夏 - イライジャ・ウォルド, 高波創太
ボブ・ディラン 裏切りの夏 - イライジャ・ウォルド, 高波創太

メイン・ストリートのならず者(SHM-CD) - ザ・ローリング・ストーンズ
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