2020年08月30日

孫のために頑張ってサインをゲットしたお婆ちゃん

ボーブ・ディーランとオレのお婆ちゃん

文:cgrotke


 1980年代初頭に、オレのお婆ちゃんはヨーロッパ旅行に行き、家族みんなへのささやかなおみやげを持って帰国した。その1つが、オレの妹、アビー用にもらってきたボブ・ディランのサイン入りナプキンだった。
 お婆ちゃんの話によるとこうだ。何かの店かカフェにいた時に、あたりが騒がしくなり、周囲の人々が興奮して「ボーブ・ディーラン、ボーブ・ディーラン」と言い出した。人だかりが出来てたので、自分もそこに行き、ボブのサインをゲットしたらしい。お婆ちゃんはボブ・ディランが誰だか殆どわかってなかったと思う。grandmadylan-300x223.jpg
 当時、アビーはフレンチホルンを学んでたので、お婆ちゃんの頭の中では「音楽好きな子」となっていた。なので、サインをもらうに値すると考えたのだ。妹がボブ・ディランをそれほど好きではなかったことなんてお構いなし。オレがボブ・ファンなりつつあったなんてこともお構いなし。オレはちょっと嫉妬した。
 長年が経過し、ナプキンは行方不明になってたのだが、この話を思い出すような出来事があった。
 2週間前に、妹のもとに知らない人からメッセージが届いた。「あなたはボブ・ディランのサインを持っているアビー・グロッキさんですか?」 ナプキンが出て来たのかと思った妹は「そうですが、サインはずっと前から行方不明なんですよ」という返事を送った。
 見知らぬ人はナプキンは持ってなかったが、いい情報は持っていた。彼はYouTube上に動画があることを教えてくれた。1980年代初頭のウィーンの街中でボブ・ディランがオレのお婆ちゃんからサインをねだられているシーンのだ。



 開始から約18秒後くらいのところから映ってる、ミスター・ディランから数歩離れたところにいる青いコートを着た人が、われらがお婆ちゃん、ベイリーだ。
 妹に連絡を取ってきた人はボブ・ディランの大ファンで、YouTubeで見つけた珍しい動画の詳細を調査してるとのことだった。
 ボブ・ディランがヴィーナー・シュタッドハレでコンサートを行なったのは、1981年7月21日のことだった。ボブはアルバム《Shot of Love》の宣伝のためのツアーの一環としてこの地を初めて訪れたのだが、昨年(2017年)発売されたブートレッグ・シリーズ第11集《Trouble No More》には、このツアーでのライヴ・パフォーマンスが収録されている。何の偶然か、ディランは現在ヨーロッパをツアー中であり、上記の動画が撮影されて35年以上経た今度の月曜日(2018年4月16日)、同じヴィーナー・シュタッドハレで演奏する。
 サインは出てこないままなのだが、オレは映像のほうがいいと思っている。だって、サインをもらうシーン----正確に言うと、有名人が自分の名前を綴っている様子----が残ってる人って、いったい何人いるだろうか?

The original article "Boob Di-lan and My Grandmother" by cgrotke
https://www.ibrattleboro.com/culture/entertainment/2018/04/boob-di-lan-and-my-grandmother/?fbclid=IwAR0eSXmk_k5LxhYyKrggYzhaWwjThTKfznP1f_GTLbaqXm_rf7G6unzRnC4
Reprinted by permission


   
posted by Saved at 10:43| Comment(0) | Bob Dylan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする