2011年02月28日

セス・ロゴヴォイ著『Bob Dylan: Prophet, Mystic, Poet』書評

 『Dylan Redeemed』(2006)はボブ・ディランをキリスト教右派の立場から論じたものでしたが、『Bob Dylan: Prophet, Mystic, Poet』(2009)はボブの生粋のユダヤ性を論じた本で、Jewish Review Of Booksというサイトに掲載された書評がなかなかの傑作でした。というのも、『ゾハールの書』の英訳者が大のボブ・ファンであることが判明し、しかも、カバラ研究の大家ゲルショム・ショーレムと手紙でボブについて語り合っていたことがわかったからです。また、この書評を書いたのが、1978年にプレイボーイ誌に掲載されたボブ・インタビューを行なった人です。
 本文中の註が必要そうな言葉には「*」をつけ、参考になるページへのリンクを貼っておきましたので、利用してください。

ボブ・ディラン:メシアか縄抜け名人か?
by ロン・ローゼンバウム


元記事:"Bob Dylan: Messiah or Escape Artist?"
http://www.jewishreviewofbooks.com/publications/detail/bob-dylan-messiah-or-escape-artist
Original copyrighted article by Ron Rosenbaum, available for viewing on Jewish Review Of Books. Reprinted by permission

 ダニエル・マット*という名の若い大学院生は、1978年にインドを旅した際に、エルサレムのヘブライ大学でユダヤ神秘思想*を研究しているゲルショム・ショーレム*教授(当時80歳)に手紙をしたためた。この手紙には自分の体験や、ユダヤ神秘思想の中心的な文書『ゾハールの書』*を翻訳したいという野心的計画、そして何よりも、ボブ・ディランについて書いてあった。彼はショーレムにボブを気に入ってもらいたかったのだ。

 『Bob Dylan Approximately』も送ります。意識的にであれ無意識的にであれ、ディランがカバラ*的な根源に近づいていると、この本の著者は考えています。この見解は筋が完璧に通っているというわけではありませんが…それでもなお、この本はいろいろな意見のコラージュとしては興味深いもので、ロバート・ジママン(ディランの本名です)に関するヒッピー的なパースペクティヴを先生に与えてくれるしょう。

 それで、ショーレムからの返事はこうだった:

 東洋の国への旅の様子や、現地での友人やグルとの体験を詳しく書いてくれたあなたの手紙を、大変興味深く読みました。ロバート・ジママン、通称ボブ・ディランとは何者なのですか? 今の人ですか? 昔の人ですか?…ユダヤ系なのですか? ジママンという苗字だと、ユダヤ系とそうでない人が半々ですよね。…私は音楽に関しては感受性が皆無なので、まずは『ブロンド・オン・ブロンド』や、もっと興味をそそる『欲望』を聞いて楽しむことにしましょう。『ハイウェイ61』とかいうタイトルからは聞きたいという欲望が起きません。この良さが分かるには、私は歳を取り過ぎてしまっているのかもしれません。

目 記事全文はこちらのテキストファイルをダウンロードしてお読みください 目
  Messiah or Escape Artist.txt

ダニエル・マット
ユダヤ神秘思想
ゲルショム・ショーレム
ゾハール
カバラ
イザヤ
エレミヤ
預言者
ボブ・ディラン信者 原文ではシェイクスピア狂を示す「Bardolator」をもじって「Bobolator」という言葉が使われていた
火に燃えるしば
マルクス主義
ホロコースト
レニー・ブルース
ジョセフ・ヘラー
ノーマン・メイラー
フィリップ・ロス
ブドウ畑
ハシド派 リンク先の3Cの項を参照
聖書 この記事の中ではいわゆる『旧約聖書』のほうを指す
ハバッド・ルバヴィッチャー
ギャリソン・ケイラー
ダヴィデ
バル・ミツヴァー
ロン・ローゼンバウムによるインタビュー(Playboy誌、1978年)

   

 私の問い合わせメールに返信してくれたフィル・ゲッツ氏からは、Jewish Review Of Booksの中の次の記事もすすめられました;
1) A Measure of Beauty by Azzan Yadin-Israel 
 聖書やタルムードにも触れた歌詞を歌うヒップホップ・グループについて
2) Between New York and Jerusalem by Steven E. Aschheim
 ゲルショム・ショーレムとハンナ・アーレントとの往復書簡について


posted by Saved at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Bob Dylan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック