フランク・ボンドが書いた歌詞論の本『Bob Dylan Lyrics versus the Academics』の中で、ボブの分析の仕方が間違っている“Academics”の例として最も糾弾されているのがリックスであり、A・J・ウェバマン著『Dylan To English Dictionary』でも「ストリートの生活をしたことのない学者にディランが分かるはずがない。ディランが最も影響を受けたビート詩が殆ど登場しないのもおかしい」とリックスは攻撃の的になっています。こうした反リックス勢の主張にも一理はありますが、リックスの『Sin』本で述べられているディランの歌詞と英文学の百花繚乱ぶりは、彼等が束になってかかってきても敵いません。
ところで、ラトヴィアで発行されているRigas Laiksという雑誌の編集者であるエヴァ・レジンスカがリックスに行なったインタビューがEurozineに掲載されていて、これが大爆笑! あの声が原因でボブを好きになれないというレジンスカに対してリックスが鑑賞法を指南するというのがテーマだったようですが、話は脱線し放題。しかし、ディラン幼少期のバスタブ、「Hattie Carroll」分析、ディランと交わした会話から、従軍経験、宗教観、大学での研究職に至る多岐に渡る話題の中に、リックスの博覧強記とユーモアのセンスが感じられる面白インタビューですね。


Original copyrighted article "A lesson in Dylan appreciation" by Ieva Lesinska on Eurozine:
http://www.eurozine.com/articles/2008-04-11-ricks-en.html
Reprinted by permission.
クリストファー・リックスがボブ・ディランについて真面目に講義をしている様子はYouTubeで見ることが出来ます。