2011年09月08日

ネット時代のブッチャーカバー

 FACEBOOKのフレンズのひとりが面白い動画を紹介してたので、ここにも貼っておきます:



 ビートルズの『Yesterday And Today』のトランクカバーを上手に剥がす方法が紹介されていて、Part 3まで見ると作業は完了しています。
 私が中〜高校生だった頃(1980年前後)は、郊外に住んでる世間知らずのバカガキにとって『Yesterday And Today』のオリジナル・ジャケット、通称ブッチャーカバーは見かけることすら稀で、時々中古盤屋で見かけると「おぉぉぉぉ〜!」と思ったものです。かなりボロボロのものでも15万円〜30万円という値段が付いていました。しかし、あれから30年経った現在、はっきり言ってブッチャーカバーは大暴落です。持ってる人の頭の中では「現在の価値>自分が払った金額」と思い込みたいでしょうし、かつて高値だった頃の値段が伝説化して現在でも語り継がれているケースも見受けられますが、eBayでの落札価格を見ると、ボロボロ状態のものは二束三文に毛が生えたくらいで取引されています。
 本当に価値のあるブッチャーカバーは、当時の社長が持ち帰った一箱分(モノラル盤90枚とステレオ盤5枚が入っていたと言われている)と、一部のレコード店で売られたものでしょう。これは数千ドルはあたりまえの世界です(場合によっては数万ドル?)。次に価値のあるのは、トランクカバーが超丁寧に剥がされたもの、もしくは、トランクカバーが剥がされてなくて、ブッチャーカバーが少し透けて見えるものでしょうか。保存状態が良ければ数百ドルです。しかし、市場に出回っているものの大半は剥がし方が雑でボロボロ状態のもので、これは100〜200ドルがいいところです。ブッチャーカバーはかつて我々が考えていた以上に市場に存在し、eBayには常に出品されています。
 下の写真は拙宅にあるブッチャーカバーで、今になって考えると、ダメな剥がし方の典型のようなものです。1980年代半ばにテキサス州のとある大学に留学していた友人(昔から文武両道の優秀な奴で、今ではどこかの大学の教授になってるみたい)は、近所の中古レコード屋でブッチャーカバーを見かけるたびに購入し、合計3枚を日本に持ち帰りました。値段は1枚あたり250〜350ドルだったそうです。どれも似たり寄ったりの状態でしたが、その中で最もマシなものは彼が自分の手元に残し、2番目に状態の良いもの(ステレオ盤で、オリジナルのインナースリーブ付き)は私が5万円で譲り受けました。後日聞いた話によると、残りのものはビートルズ系のコレクターズ・ショップが7万円で買い取ってくれたそうです。
 私が持ってるものは、トランクカバーを貼付けた際のノリがジャケット上に大量に残存し、白くもやがかかっています。それを取り除いてもっと見栄えを良くする方法もあるようですが、シロウトがヘタなことをやってさらに価値を下げても仕方ないので、しばらくはそのままにしておくことにします。

 butcher cover.jpg

 2002年に音楽出版社から出た『ジャケット天国』に掲載されているブッチャーカバーは、実はこれです。写真のキャプションには「このくらいの状態のもので1,000ドル」と書いてありますが、1999年夏にニューヨークのコレクターズ・ショップREVOLVER(今はもうありません)で、似たり寄ったりの状態のものに1,000ドルの値段がついているのを見かけました。あの店で実際にこの値段で売れたのかどうかは知りませんが、少なくとも現在では、相当状態の良いものでないと1,000ドル超えはしません。友人から購入した当時は都内のレコード屋で10〜20万円前後で見かけたので、5万円でもいい買い物をしたと思っていましたが、今だったら同じ状態のものは200ドルで入手可能でしょう。いや、出来の良いカウンターフィット盤のほうが欲しいかもしれません。
 拙宅には、ブッチャーカバーの他にも、多少貴重なアイテムであっても売る時期を逃して大暴落し、ゴミ同然となっているレコードがわんさかあります。ものを見る目やビジネス・センスが皆無ですね。でも、ビジネスのために音楽ファンをやってるんじゃないし…(というのは負け犬の遠吠え)。
 
  

posted by Saved at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | Beatles | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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