2015年04月20日

グレイトフル・デッド FARE THEE WELL チケット狂騒曲・終わってなかった編

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 私が心身ともに振り回された挙げ句、いろんな手数料分の金を失う結果に終わった(かなりの痛手)シカゴ公演メールオーダー騒動には、以下のような裏事情があったようです。チケット争奪戦撤退後も、一応、成り行きのチェックを続けているわけですが(こうなったら高みの見物)、大ブーイング中の3月10日にこんな記事が登場し、デッドヘッズの共感を呼びました。
こんなのグレイトフル・デッドじゃない
文:スチュワート・サロ

 グレイトフル・デッドの伝説的ギタリスト、ジェリー・ガルシアが宇宙をトリップするようになって、20年近くが経過した。残りのメンバー----ボブ・ウィア、フィル・レッシュ、ビル・クロイツマン、ミッキー・ハート----だけでもグレイトフル・デッドを名乗ることが出来るのかというのは、ジェリーが我々のもとを去って以来の大論争だが、2月28日に遂にその答えが出た。7月3〜5日にシカゴのソルジャー・フィールドで開催が予定されている「フェア・ジー・ウェル」(さよなら)公演のチケットを購入するために、この日、約50万人のファンがチケットマスターのサイトにログインしたらしい。これがニュースで謳われている通り、ロックンロール史上最大のコンサートだとしても、これはグレイトフル・デッドではない。
 50万人のうちの多くは、メール・オーダー優先販売という無益に終わった作業に、既に参加していた。第3者機関を通してではなく、バンドがファンに直接チケットを売るという、ファン思いのステキな伝統の復活に、自分たちも参加するという思いがあってだ。しかし、心と魂を込めて封筒にアートワークを施し、1月20日に大金を送った真のデッドヘッズの知らないところで、音楽産業の大物たちと秘密の裏取引がなされていたのだ。人生の喜びとインスピレーションの源として、グレイトフル・デッドを信奉し続けている人々の間では今でもなお健在の、愛と感謝の気持ちを利用して、いかにして金を儲けるかという取引が、である。
 ソルジャー・フィールドの収容人数は3公演で計21万人だ。グレイトフル・デッド・チケット・セールスによると、約6万通の封筒が届き、30万席分のリクエストがあったらしい。しかし、ショウはソールド・アウトというアナウンスではなく、一般発売日が2月28日に延期されただけだった。あれ? 21万枚のチケットしかないのに、伝統に則って封筒をアートワークで飾るような本物のファンから、郵便為替のかたちで30万枚分の代金を受け取っておいて、さらにチケットマスターを通してネット販売? つまり、チケットマスターが儲かるように、チケットの一部を2度売りするつもりなの? こんなやり方はグレイトフル・デッドではない。
 しかし、現実はさらに酷かった。後になって、メールオーダーのうち1割にしかチケットは当選しませんという発表があった。計算してみよう。メールオーダーで30万枚の申し込みがあったのに、そっちでは3万枚しか売らず、18万枚は、エンタメ業界の大物たちのポケットを気前良く満たす他の経路を通して売る予定だったのだ。
 一番解せなかったのは、チケットマスターでのチケット取り合戦が終了した直後に、突如、StubHub(合法のチケット転売サイト)に大量のチケットが登場したことである。会場の殆ど全てのブロックのチケットが、合計数千枚もStubHubで販売され始めたのだ。しかも、値段は600ドル(ステージ裏)から3,500ドルとかなりぼったくりだ。この金額を出す余裕がないなら、一番安い180ドルでパーキング券を買って、駐車場でショウを楽しめばいいってか? StubHubにあるこうしたチケットは、一体どこから供給されているのか? ひとつの答えは、最後のコンサートの開催地として不可解にもシカゴが選ばれたことと関係があるのかもしれない。アメリカ全土及び国外に熱心なファンを作ってきたとはいえ、グレイトフル・デッドはまず第一に西海岸のバンドだった。メンバーはサンフランシスコのベイエリアで暮らしており、最初期からのファンもまたしかりである。そういう歴史があるのに、なぜシカゴなのか? シカゴ・パーク・ディストリクトとシカゴ・ベアーズのシーズン・チケット所有者の間で交わされている契約に照らし合わせると、見えてくるものがある。ベアーズのシーズン・チケット所有者は、ソルジャー・フィールドで行なわれるあらゆるイベントのチケットを優先購入することが出来るようになっているのだ。StubHubに突然、数千枚ものチケットが登場した件も、次のように考えると合点がいくだろう。グレイトフル・デッドのショウが大宣伝されていたので、ベアーズ・ファンの意識レーダーがそれを捕捉した。彼らの殆どにとっては、こんなバンドなんてどうでもいいのだが、199.50ドルで購入したチケットを3,500ドルに変えてプエルト・バヤルタ(メキシコのビーチ・リゾート)旅行とシャレこむチャンスと見えたのだろう。ソルジャー・フィールドが選ばれたのは、1995年7月9日にグレイトフル・デッド最後のコンサートが行なわれた場所だからだ、というもっともな理由も、定価の数倍もの値段で取引されるチケットの数を考えると空しく響く。
 それに、フィッシュのリード・ギタリスト、トレイ・アナスタシオが参加するということも理解に苦しむ。ジェリー・ガルシアの死去以来、ジ・アザー・ワンズ、ザ・デッド、フィル・レッシュ&フレンズ、そして一番最近のファーザーといったデッド後のバンドにおいて、何人もの有名ギタリストがガルシアの代わりを務めてきた。この中にはワイドスプレッド・パニックのジミー・ヘリング、ダーク・スター・オーケストラ創設時のリード・ギタリスト、ジョン・カドルシック、ガヴァメント・ミュールやオールマン・ブラザーズ・バンドで活躍し、ザ・デッドやフィル・レッシュ&フレンズの要のメンバーだったウォーレン・ヘインズらがいる。ガルシアが作った多数の曲を、ロック・バンドと全米各地のオーケストラで演奏したジェリー・ガルシア・シンフォニック・セレブレイションを見事にやり遂げたヘインズこそ、気持ちの点ではいろんな意味で最高の適任者ではなかろうか。以上のミュージシャンは3人とも、ジェリー・ガルシアの代役を担当する資格があるほど、彼の音楽を十分に研究しているが、アナスタシオは否である。彼はフィル・レッシュ&フレンズのコンサートに登場したことはあるが、先月(2015年2月)のローリング・ストーンズ誌には「今まで、ジェリーのプレイをじっくり研究したことはない」というコメントが載っていた。
 シカゴ及びアナスタシオという選択は、ファンに真のグレイトフル・デッド体験を与えようという気持ちからなされたのではなく、プロモーターであるピーター・シャピロとマディソン・ハウス、及びその関連企業に最大の利益をもたらすために行なわれたように見える。アメリカの中心に位置するシカゴは、東西に片寄らない便利な場所にあり、「2次マーケット」での高額チケットを購入する余裕のあるファンを引き付けるのに必要な、大都市ならではの魅力もある。それに、アナスタシオが加わることで「フィッシュ・ヘッズ」も興味を抱くようになり、その分、600〜3,500ドルのチケットを買うことが出来る金持ちオーディエンスが増えることになる。
 そして、最後がこれだ。シャピロとマディソン・ハウスは、7月3〜5日のイベントを中心として一大事業を作る計画中だ。これには、アフターショウ・コンサート、オーディオ/ビデオ・レコーディング、ケーブルTVでの「ペイパービュー」放送が含まれている。つまり、数十万の人間をチケットが取れないイベントにわくわくさせ、定価の何倍もの値段のチケットを買うことの出来る人間にチケットを売り、「負け犬たち」からも金を取ってテレビでそれを見せるのだ。
 歴史上最もファンから愛されたバンドが、音楽史上最大のぼったくりに関与したとして記憶に残ってしまうのは、遺憾を通り越して悲劇である。グレイトフル・デッドは質の高い音楽とファンに忠実なことで自らのブランドを作り上げた。レコードを売ることよりも、ツアー活動やライヴ・パフォーマンスに主眼を置くことで、名声を得て大成功をおさめた。ファンがコンサートを録音し、演奏を無料で共有するのを許したこと、バンド専用のチケット代理店を作ったことによって、支持基盤を築いたのだ。「フェア・ジー・ウェル」で起こったような、中間搾取業者がシーンをかき回すのを許すことによってではない。
 「フェア・ジー・ウェル」ショウは、表面上は、多くの人に愛されたバンドの50周年記念のイベントということだが、実際のコンセプトはグレイトフル・デッドからあまりにかけ離れていることが、ショウ開催が発表されて以来、日を経るごとにはっきりとしてきている。

"Ladies and Gentlemen, Not the Grateful Dead" by Stewart Sallo
http://www.huffingtonpost.com/stewart-sallo/ladies-and-gentlemen-not-_b_6831912.html


   

 話はまだまだ続きます。

 かねてより、シカゴ公演の前の週にカリフォルニア州サンタクララ(マウンテンビューよりもう少しサンノゼのほうに行ったところ)で2回追加公演が行なわれるとの噂がありましたが、4月10日に遂に正式に発表となりました。スケジュールが合わなくて行けないので、私はこっちはチケット取りに参加すらしていないのですが、シカゴ公演のチケット発売に関して大ブーイングが起こってから追加公演が発表になるまでには、水面下でこんな経緯があったようです。



「答えを求める人もいる」----グレイトフル・デッドが「フェア・ジー・ウェル」追加公演を発表
文:スチュワート・サロ

 私は先月、『こんなのグレイトフル・デッドじゃない』という記事で、7月3〜5日にシカゴのソルジャー・フィールドで行なわれるグレイトフル・デッドの「フェア・ジー・ウェル」コンサートのチケットの売り方の件で、プロモーターのピーター・シャピロを名指しで非難したが、彼にはこの記事に気づいた時点の行動として、2つの選択肢があっただろう:(1)チケットが取れなかった人間が書いた「負け犬の遠吠え」(一応書いておくと、これは事実ではない)として無視する。(2)チケットの販売方法、会場の選択、および、こうした要因が2次マーケットを刺激して、価格が数千ドルに跳ね上がったことを正当化する。
 しかし、シャピロは以上のどちらにも満足せず、非常にグレイトフル・デッド的な3つ目の選択肢を考えついた。共通の友人から私の携帯電話の番号を聞き出し、私に連絡をくれて、先の記事中で掲げた問題について話し合ったのだ。「私はヘッドです。あたなもヘッドですね。グレイトフル・デッド・スピリットを大切にしながら話し合いましょう」(グレイトフル・デッドのファンの間では、「ヘッド」というと「デッドヘッド」を意味する)と発言することで会話のトーンを定めたのは、シャピロのほうだった。
 そうして私達は話した。この時は約1時間ほど。この後、50年に渡る長い奇妙な旅の最終章の追加公演が発表された今日までの1カ月間のうちに、何回も話す機会を持った。殆ど毎日のように行なった会話やメール交換の際に、ピーター・シャピロも私も互いを尊重し、プロに徹しながら、込み入った話題に踏み込んでいった。その結果、難しい問題も話題にのぼり、シカゴ公演のチケットが手に入らなかった何千人ものデッドヘッズの声が届き、解決策が練り上げられたのだ。
 前回の記事で私が掲げた主な問題は:グレイトフル・デッド・チケット・セールスが行なったメール・オーダーでは、ほんの一部の人しかチケットが買えなかったこと。会場に選ばれたのがシカゴのソルジャー・フィールドであること。トレイ・アナスタシオがリード・ギタリストに選ばれたこと、の3点である。私がまずシャピロにはっきりと言ったのは、最初のひとつ以外は比較的小さな問題だが、ただ、多くの本物のデッドヘッズがチケットを買えずじまいになってしまい、2次マーケットを刺激してチケット値段を吊り上げたという点では罪深いということだった。
 グレイトフル・デッドとそのファンの最も根本的な原則のひとつが、グレイトフル・デッドのコンサートのチケットを額面以上で売るなかれ、というものである。前回の記事を批判した人は、私のことを、現代のチケット販売方法を受け入れられない時代遅れな人間と言い、全てのチケットはメールオーダーで販売されてしかるべきだという意見をバカにしたが、ピーター・シャピロはこうした意見の持ち主ではなく、これを、解決する必要がある問題と認識してくれた。
 「いろんな記事を見ましたが、あなたの書かれた記事が一番説得力があり、おかげで、我々は問題の存在に気づきました」とシャピロは記事にコメントした。「私はグレイトフル・デッドのチケット・オフィスに行って、(アートワークで飾られたメールオーダー申し込みの)封筒を見て、心が痛みました。チケットを買えない人がたくさん出てしまったことを知ったからです」
 それで、シャピロは解決策を練った。第1回目の会話の約2週間後、彼は、カリフォルニアでも2公演行なうようバンドを説得してみるつもりだと言い、私に意見を求めた。「(シカゴの)前の週にベイエリアで2公演やるのってどうでしょう?」 私はこう答えた:「ピーター、チケットを全てメールオーダーで販売したら、シカゴで起こったことは水に流してもらえますよ」
 バンドのメンバーを説得することから、オンラインのメールオーダー・システムを使えるようにするための交渉まで、何週間も不断の努力を行なった後、ピーター・シャピロとバンドは、6月27日と28日にカリフォルニア州サンタクララのリーヴァイス・スタジアムで2回の追加公演を行なうことを、本日発表した。最も大切なのは、チケットの約90%がオンラインのメール・オーダー抽選システムを通して、真のグレイトフル・デッド・スタイルで販売されるという点である。シャピロによると、「今時の典型的な販売方法は使わない予定です。本当の宝くじのやり方で抽選するので、申し込んだ人全員、チケットが手に入る確率は同じです。「ボット」等のチケット・ゲット・テクニックは排除されます」
 追加公演は本日(4月10日)、東部夏時間午後3:00にSiriusXMのグレイトフル・デッド・チャンネル「テイルズ・フロム・ザ・ゴールデン・ロード」の特別版で発表となり、それと同時にDead50.netでオンラインのメールオーダー受付が開始された(火曜日の午後11:59締め切り)。シャピロがバンドに代わって読み上げた手紙を、ここでも紹介しよう:

グレイトフル・デッドの人気曲〈Playing in the Band〉には「答えを探す者もいれば、戦いを求める者もいる」というくだりがあります。この一節は、答えを探すことは徳が高く、戦いを求めるのは愚と言っているのだと解釈したいものですが、正しいと信じていることのために戦って、答えを出す力のある人間を動かし、そうさせなければいけない時もよくあります。「権力者に真実を言う」という言葉もあります。グレイトフル・デッドの曲の中にあるたくさんのメッセージと同様、この理念を用いることで、トラブルだらけの世界で私達が直面するさまざまな問題----地球温暖化、我が国の政治システム、遺伝子組み換え農作物、フラッキング、警察官による暴力など----の解決に取り組むことが出来るのです。

 社会正義を訴える役割を担うというグレイトフル・デッドのレガシーは、バンドの最終章においても、損なわれていない。シカゴ公演のチケットを取ることが出来なかったデッドヘッズが大勢いたことを、我々は問題視して立ち上がり、声をあげた。そして、ピーター・シャピロとバンドを動かして、答えを見つけさせた。彼らが見つけた答えによって----バンドが最も深く根を張っているベイエリアでの2回の追加公演、公平なチケット発売方法----グレイトフル・デッドのスピリットは今もなお健在であることを、我々は再確認した。

"'Some Folks Look for Answers' -- How the Grateful Dead Came to Announce Two Additional 'Fare Thee Well' Shows" by Stewart Sallo
http://www.huffingtonpost.com/stewart-sallo/grateful-dead-additional-fare-thee-well-shows_b_7041670.html

 こういうふうにファンの意見に耳を貸すのがグレイトフル・デッドの伝統です。録音者用セクションも、「それじゃ専用の場所を作ってよ」というファンの意見を取り入れて設けられました。1990年代前半には、LSD不法所持の刑罰が、それを染み込ませてる紙や角砂糖の重さも合算して決まるという法律に、デッドのオフィスが率先して異を唱えました(この頃、FBIはデッドのコンサートを追ッカケしてドラッグの末端売人を捕まえていました。都市の危険な地区のストリートにいるクラックの売人と違って、デッドヘッズは銃やナイフを持ってないので安全に成果をあげることが出来たからです)。デッドのファン思いの方針は、あらためて本なんか読まなくても、たくさん思い浮かびます。
 チケットの話に戻ると、私の知人がサンタクララ公演のオンライン・メールオーダーに挑戦してみたのですが、フタを開けてみたらこちらも結構な倍率で、ハズレだったそうです。試しにStubHubをのぞいてみたら、状況はこの通り。

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 ハズレの人がたくさんいる一方、1万枚以上が売りにだされています。シカゴと同じく、こっちも転売天国になってしまいました。悪名高きチケットマスターが介在せず、デッドヘッズからぼったくろうとするスポーツ・チームのファンも存在しない分、今回はヘッズがヘッズを搾取するという醜い構造になっているのではないでしょうか。これが「答え」なの? チケットが余計に取れたら、取れなかった友人に声をかけるのが先じゃね〜の? そういう横のつながりが強いのがデッドヘッズじゃね〜の?(友人が少ない私が言っても説得力ないか…)
 記事中には正義とか理念とか、口からは偉そうな言葉が出て来たけど、何だかんだ言ってまた同じことの繰り返しかよ、という厭世観にも似た気持ちを抱いていたところ、横のつながりから「まだシカゴ行く気ある? チケットマスターで取れてる3日間パス、よかったら譲るよ。末席だけど」との連絡がありました(ステージ裏の2階スタンドなので、チケットマスターの手数料込みで203.65ドル)。去年のボブ・ディランのコンサートの時にチケットを取ってあげたヨガの先生(超美人)からです。3月1日の時点で、彼女と友人がそれぞれチケットマスターとメールオーダーで予約に成功したので、余りが出るかもという連絡をもらってはいましたが、その後はなしのつぶてだったので、アメリカ国内で話がまとまっちゃったのかと思い、諦めていました。
 ということで、私のシカゴ行きの話は急遽復活! 再度、飛行機とホテルの予約をする必要が生じることになりましたが、今後はドンデン返しがないことを希望します。
posted by Saved at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | Grateful Dead | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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