2016年04月29日

ボブ・ディラン追っかけ談義(パート2)

 インターネット時代になって海の向こうのコンサート情報が誰でも入手出来るようになり、本場欧米までお気に入りのミュージシャンを見に行くことが容易になりましたが、日本でコンサートを見たい海外のファンにとっても同じです。
 ボブのコンサートに限って言うと、20年前は外国から見に来た人は1会場あたり10人いるかどうかでしたが(さすがに東京公演はもう少し多かったと思います)、コンサート・チケットを販売する英語サイトが徐々に充実してきたり、フェイスブック等で友人ネットワークを作るのが容易になったことが要因となり、21世紀に入るとボブが来日するたびに、それに合わせて日本に来ちゃう人が倍、倍で増えてきているような気がします。今回もボブが日本にいた4週間に、それこそいろんな人が入れかわり立ちかわり来ました。
 2年前にも海外から日本公演を見に来たファンの話を紹介しましたが(彼は今年も来日して、奈良公園で持ってた地図を鹿に食べられました)、今回は別の人の話を紹介したいと思います。イタリアのアンドレアさんは、1978年のヨーロッパ・ツアーからカメラを持ってオッカケを開始し、今回の日本公演でも、この↓ベストショットをものにしています。私よりはるかに濃い〜体験をしてきている人物なので、いろいろ聞きたいことがあったのですが、反対にあれこれ質問されてインタビューは始まり、そして終わりました。

BobTokyo.jpg


さて、始めましょうか。

 ところで、あの人、名前は何て言ったかなあ? 《At Budokan》を作った人。

菅野さん? ヘッケル菅野っていうニックネームで知られています。

 長年、世界中どこに行ってもあの人を見かけるんで、熱心なオッカケ・ファンだなあとずっと思ってたんだ。《At Budokan》を作った人だって今回初めて知ってビックリしたよ。

1970年代〜80年代にCBSソニーでボブのレコードを担当していた伝説的ディレクターです。ボブの自伝を日本語に翻訳したのもこの人です。

 おぉ! いつも黒いサングラスをかけてて、独特でステキなたたずまいをしてる。今でもソニーに勤めてるの?

もう社員じゃないと思いますが、今でもなおボブを熱心に紹介し続けてます。

 最近のボブの方針はどう思う? つまり、毎回同じ曲目ってことだけど。

もっといろんな曲を聞きたいとは思いますが、歌唱の点では5年前くらいよりよりはるかにいいと思います。今は曲を大切にして丁寧に歌ってます。

 まあ、1978年も毎日同じ曲だったし。1981年、84年もそう。1986年まではそうだった。ところで、キミが一番最近ヨーロッパに来たのはいつ?

2012年7月にドイツ、オーストリアに行きました。ボン、バッド・マーゲントハイム、ザルツブルクでコンサートを見ました。

 あの年は、私はツアーのその後の日程を見たんだ。フランスのキャレはジョンが見た最後のコンサートになっちゃったんだよなあ(このページも参照のこと)。

program.jpg


musicare.jpg


ところで、昨年には、ボブが面白いスピーチをしたMusiCaresを見に行ったんですよね?

 話せば長くなるんだけどさあ。昼間に会場の様子を下見に行ったら、入り口でのセキュリティー・チェックが厳しく、手持ちの金属探知機で体中調べられるようだし、録音・撮影は厳禁、見つけ次第強制退場なんて超厳しそうだったので、カメラの持ち込みは諦めてたんだ。でも、リハの様子を見てた人から、そんなに厳しくなさそうだよ、カメラ持ち込みOKかもと言われ、ズボンのここに(手で股間の部分を指す)小さなカメラを入れて行ったんだ。もうドキドキ。でも、私がチェックを受けた時には、なぜか金属探知機は全く鳴らなかったんだよ(笑)。

故障してたんですかね?

 かもしれないね。中に入っちゃったら、監視の目は厳しくなかったので、こっそりいろいろ写真を取って、ボブのスピーチも40分ほど撮影に成功。主にスクリーンを撮影したんだけどね。

speech.jpg


そもそもどうやってチケットを手に入れたんですか? 業界関係者用のイベントだったでしょう。

 知り合いの業界人から、チケット回せそうだよ、キミは来ないといけないって連絡があったんだ。誰々と連絡を取るようにって言われたので、そうしてみたら、すんなりOKの返事が届いた。MusiCaresとは、ミュージシャンや音楽業界で働く人の福祉を充実させようという団体で、チャリティーも兼ねていて、入場料は最低ランクでひとり1,500ドル。「ハイ、これで申し込み受け付けました」って、結構すんなり見に行けることにはなったんだけど、夫婦で3,000ドルは相当な出費だったなあ。「豪華ディナーとホテル代込みですよ」って言われても、それでもね〜。奥さんが直前に具合が悪くなっちゃったんで、急遽、別の人と一緒に行ったんだけどさ。1,500ドルだから後ろの方の超末席。前のほうは監視の目が厳しかったけど、私のテーブルあたりは手薄だった。コーチェラ・フェスの話を初めて聞いたのも、同じ業界人からだった。

pass.jpg


ポールやストーンズやザ・フーも出るってやつ?

 そう。

チケット代がいくらになるのか考えたくないですね。10月は仕事が忙しい時期なので、私は最初から諦めてますが。

 立派な理由だ。

ミュージケアズではチョコレートが配布されたはずです? 食べちゃいましたか?

 いや。食べずに大切に保管してあるよ。

choco.jpg


他にも何か面白い話はないですか?

 聞くところによると、ボブは2時間いろんなミュージシャンが演奏している間、例のツアー・バスの中で生中継を見てたらしい。

カメラの持ち込みで苦労したことはないですか?

 テキサスは大変だったなあ。大きなカメラを入り口で見つかっちゃって、次に少し小さなカメラを持ち込もうとしたら、また見つかっちゃって、最後はこんな小さなカメラを靴の中に隠して入ろうとしたら、それも見つかっちゃって、さすがに3回目となると危険人物扱い。道の向こうに行って、こっち側に来ちゃいけませんて言われたよ。テキサスは撮影係にはやさしくないねえ。

日本はどこか観光しましたか?

 今回は日本武道館に行って、あのへんを歩いたよ。昔はお城の中だったの? 時差ボケで眠れなかったので、深夜にホテルの回りを散歩したんだけど、午前2時でもバスが走ってるのにはビックリしたなあ。

ニューヨークと同様、東京も眠らない町です。イタリアはどうですか?

 私が住んでる田舎町は深夜は眠ってるね。ローマも深夜は眠るよ。

他に観光したところは?

 前回(2014年)、名古屋、大阪公演を見に来た時には、ボブも見たという京都の石庭に行ったんだ。ほう、これか〜って感慨もひとしおだった。それから、奈良公園と東大寺。鹿とあんな身近に接することが出来るなんて珍しい。東大寺は1994年にGMEが行なわれたところだよね。大仏殿にいる時、私の頭の中ではずっとあの〈Hard Rain〉が鳴りっぱなしだった。どういう経緯であのコンサートは発表になったの?

1994年のボブの日本ツアーが終了してすぐ、東大寺の大きな庭でジョニ・ミッチェルやライ・クーダーが出演する音楽イベントが行なわれる予定だっていう小さな新聞記事を見ましたが、その時点ではボブの名前は出ていませんでした。4月にフロリダの友人から届いた手紙に、ボブが出るぞって書いてあり、その後、正式に発表になってチケットが発売になりました。ミュージシャンが共演するのがテーマだったので、ボブは日本のフォーク・ミュージシャンとデュエットするのではないかという予想でした。オーケストラをバックに歌うとは思いませんでした。

 3日間行なわれたんでしょ。

初日は通しのリハーサルだったようです。お金を払ってチケットを買わなきゃいけなかったんだけど、単なるリハーサル。2日目はボブはオーケストラとかみ合ってませんでした。3日はパーフェクトでした。


 3曲がああいうふうに連続して演奏されたの?

そうです。現在、youtube等で見れる通りでした。基本、生中継でしたから。

 人はたくさん入ってたんですか?

動員はそんなに良くなかったと聞きます。初日はスカスカでした。残り2日はまあまあでした。GMEは奈良から始まって、世界各地の世界遺産を回ってコンサートを開催する予定だったのですが、奈良での動員が主催者ががっかりするほど悪かったので、以降の企画はなくなってしまいました。先頃亡くなったジョージ・マーティンがスーパーバイザーを務めて、息子のジャイルズ・マーティンもリハーサルの進行管理や音響のスタッフをしてました。

 ほう。

ジャイルズから面白い話を聞きました。オーケストラとバンドが一通り練習した後、ボブがリハに到着したんです。ドラムのジム・ケルトナーはボブとは古い付き合いですよね。

 1981年のツアーのドラマーだったなあ。1979〜81年のゴスペル期は彼だったし、92年ボブフェストもジムだった。

偉大なミュージシャンのふたりが久しぶりに顔を合わせてどんな言葉を交わすのか、その場にいた全員が見守ってたところ、ジムがぼそっと「ボブ」と言うと、ボブもぼそっと「ジム」。それだけだったそうです。

 (笑)

   

posted by Saved at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | Bob Dylan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック