2020年04月12日

新刊の紹介『THE CATS! VOLUME 1: On the Bandstand of Life with Master Musicians』

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 定期的に有名ミュージシャンへのインタビューを紹介しているウェブ上のラジオ番組『ザ・ジェイク・ファインバーグ・ショウ』が書籍化されました。『THE CATS! VOLUME 1: On the Bandstand of Life with Master Musicians』にはジェイクがこれまでに行なってきた数多くのインタビューの中から厳選して、スティーヴ・ガッド、デニス・コフィー、ジム・ケルトナー、ジョー・サンプル、ダニー・コーチマー、リーランド・スクラー、ランディー・ブレッカー、ロン・タット、バズ・フェイトン、チャック・レイニー、リオン・「ンドゥグ」・チャンクラー、エミル・リチャーズ、デヴィッド・スピノザ、ニール・カサール、ラリー・コリエル、レニー・ホワイト、デイヴ・リーブマン、ケニー・バレル、グレッグ・エリコ、スティーヴ・スワロウ、ビリー・コバム、デヴィッド・リンドレー、デヴィッド・ガリバルディ、パット・マルティーノ(以上全員)のインタビューが紹介されています。ジャズ/フュージョン系の名プレイヤーが多いですね。リーダー作もたくさんありますが、いろんなアーティストの無数のセッションに参加しており、彼らの光ったプレイが聞けるアルバムは全員合わせると1000枚になるでしょうか。いや、もっとか。この人たちのレコードを熱心に集めていなくても、欧米のロックやジャズ、ポップスのレコードを1000枚持っていたら、少なくとも数十枚は彼らの誰かが参加しているはずです。ビートルズやローリング・ストーンズといったレベルで有名なアーティストではありませんが、別の意味で非常に浸透力のある人々です。



 なので、彼らは私が一番興味を抱いているミュージシャン(今ご覧になっているパソコン画面の左のカテゴリー欄にある人々)ではありませんが、さまざまな人のインタビューの中に、私が面白いと感じるエピソードや洞察がたくさん出てきます。ジェイク・ファインバーグがいいよと言ってくれたので(「多くの人に知ってもらうためにはサンプルが必要です」とお願いしてみました)、1つだけ素敵な話を紹介しましょう:

ジム・ケルトナー・インタビューより

 ゲイリー・ケルグレンとクリス・ストーンはニューヨークにレコード・プラントを作り、ロサンゼルスでも同じことをやったんだ。オレはゲイリーと奥さんととても親しくなって、しょっちゅう一緒にディナーを食べてたんだ。ある晩、ゲイリーが「クレイジーなことをやろうぜ。レコード・プラントでジャム・セッションをやるんだ」っ言い出したんで、オレは「ああ、いいね」って答えた。そしたら「日曜の晩はジャム・セッション大会だ。タイトルはジム・ケルトナー・ファン・クラブにしよう」って言うんで、オレは「おいおいおいおい、そりゃ絶対にダメだ」って返答した。無理があるって感じたからさ。
 ゲイリーにそれをやめさせることは出来なかったけど、蓋を開けてみると、それが効を奏したんだよ。皆が姿を見せるようになったのさ。ジョン・レノンとガールフレンドのメイ・パンがロスに来ていて、リチャード・ペリーとディナーを食べている時、ペリーが「ケルトナーがレコード・プラントでジャム・セッションをやってるんだぜ」って言うと、ジョンが「本当? じゃ、そこに行こうぜ」って言った。ジョンがやって来たのは、たまたまダニー・コーチマーがいた晩だ。ダニーは優秀なプロデューサーで、ドン・ヘンリーの一連のレコードはこいつのプロデュースだ。
 クーチ(コーチマーの愛称)が曲を1つ持って来て言った。「ヘイ、ジミー。この曲どうだい」 歌のタイトルは〈Too Many Cooks〉だった。オレは仰天した。「どこからこんな曲見つけてくるんだよ?」
 オレたちは翌週にこの曲をレコーディングすることにした。そうこうしてるうちにミック・ジャガーから電話があって、この曲のことが奴の耳に入った。レコーディングする予定なんだって教えたら、ミックはやって来た。あいつはこの曲をその晩、初めて聞いたんじゃないかな。それであの歌いっぷりっていうのがジャガーのスゴいところだ。
 ミックが歌って、ジャック・ブルースがベース----豪華キャストだったね。ジョンもそこにいて、「このレコードのプロデュースはオレがやろう」って言い出した。ジョン・レノンとリチャード・ペリーが、ミック・ジャガーが〈Too Many Cooks〉を歌うのをプロデュースしてるんだぜ。素晴らしい夜だった。これがジム・ケルトナー・ファン・クラブの最高の瞬間だった。




ちなみに、オリジナル・バージョンはこう:


 〈Too Many Cooks〉は1973年に、以上のようにお遊びでレコーディングされたもののお蔵入り(こんなにファンキーでいい曲なのに!)。しばらくはローリング・ストーンズの海賊盤でしか聞けませんでしたが、2007年発売のミック・ジャガーのソロ・ベスト《The Very Best of Mick Jagger》に収録されて、やっと晴れて正式に日の目を見ました。
 他の人のインタビューの中にも、「ボブ・ディランの仕事をゲットしようと頑張ったんだけど、マイク・ブルームフィールドに取られちゃった。その直後にゲイリー・バートンからグループに誘われて、断れなかった」(ラリー・コリエル)、「ラヴィ・シャンカールからジョージ・ハリスンを紹介してもらった」(エミル・リチャーズ)等の話が登場します。えっ、ラリー・コリエルがああいう音楽をやりたかったの? 話の内容からすると《Highway 61 Revisited》のセッションのことだと思いますが…。コリエルからは「今考えると、LSDでトリップするのは最初の1回だけでよかったかなあ」「ジョン・マクラフリンと一緒にスリ・チンモイのイニシエーションを受けて、1、2年もしないうちにサンタナを開眼させた」という面白い発言も出てきます。音楽的に守備範囲の狭い私にとってでさえ、興味深い話がたくさん見つかります。
 ここであまり詳しく内容に触れてしまうと本の商売の邪魔になってしまうので、このへんにしておきます。残りは各自、ご自身の趣味・興味に従ってお読み下さい。『THE CATS! VOLUME 2』も楽しみです。

   

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