2022年12月11日

ブートレッガーのインタビューに応じたキース・レルフ

 25年以上前に出たクリントン・ヘイリン著『The Great White Wonders: Story of Rock Bootlegs』に 次のようなことが書いてありました。

 TMQはヤードバーズの2枚のアルバムでも「カラー化」の実験を続けた。このアルバムもまた、珍しい曲や未発表マテリアルを取り揃えたコンピレーション盤であり、ヤードバーズの正規盤の中でも、これ以上に気のきいた形でまとめられているものは殆どない。1973年から74年にかけての冬頃には、ヤードバーズの重要性がコレクター間でも遅ればせながら認められるようになっており、TMQの《Golden Eggs》と《More Golden Eggs》はヤードバーズをそれ相応に扱うことを意図したアルバムであった。《Golden Eggs》が楽しいコレクションだとしたら、《More Golden Eggs》こそTMQの力作だった。《More Golden Eggs》には、スタウトによる素晴らしい風刺画のアルバム・ジャケットに加えて、ヤードバーズのリード・ヴォーカリストであるキース・レルフが収録曲について語っているインタビューを掲載したインサートまでもが付いていた。これこそロック・アーティストがブートレッグに贈った究極の是認ではないだろうか。

ウィリアム・スタウト:俺が《More Golden Eggs》を誇りに思っているのは、それが半分合法的なブートレッグの第1号だったからさ。ヤードバーズのキース・レルフが近所に住んでいたんだけど、彼は丁度アーマゲドンを結成しようとしていて、家賃のための金が必要だったのさ。そこで、俺達はその月の家賃を払ってやるかわりに、インタビューをすることが出来たんだ。キースにブートレッグ・レコードを聴かせて、1曲1曲についてコメントしてもらったのさ。…このインタビューをジャケットに載せて、それから4、5ページのインサートにも印刷して、ジャケットには署名もしてもらった。…《More Golden Eggs》は、子供用の本にイラストを描いているイギリス人イラストレーター、アーサー・ラッカムのスタイルで描いたものなんだ。当時、彼からは大きな影響を受けていたからね。…《Golden Eggs》のジャケットで言いたいことはこういうことだ。金の卵を産んだガチョウを殺そうとしているイタチはミッキー・モストなんだ。こいつがヤードバーズに対して行なったプロデュースは全然好きになれなかったね。「ポップ」なマテリアルをレコーディングするよう強要したのが、バンドにとってマイナスとなり、解散を招いたと思うんだ。


 このインタビュー、読みたいなあと思ってたのですが、該当のレコードがなかなか見つからないまま年月だけが経過してしまいました。しかし、昨年の今頃出版された『A Pig's Tale』にジャケット写真やデータ、そして、インタビューが載っていた裏ジャケやインサートの写真が掲載されていたので、やっと読むことが出来ました。大爆笑じゃん、これ。ヤードバーズが複数のマネージャーによって不本意なことをやらされ、その結果、迷トラック、珍トラックの宝庫と化していった様子が、メンバー本人の口から明らかになっています。

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 ついでなので、『A Pig's Tale』全体を日本語に訳して勝手に電子書籍を作って出版業界の知り合いにあたってはみたものの、今の所、これを出してくれそうなところは見つからず、今回も何人かの友人に見せて笑われるだけの自己満足に終わってしまいそうです。涙。とりあえず、キース・レルフのインタビューだけでも公開するので、読んでください。内輪受けの冗談と思しき意味不明の箇所はカットしてありますが、話題となってる曲はYouTube動画を貼り付けておきました。

12/13追記:イギリスのビートグループに超詳しい人によると、キース・レルフは記憶がボロボロで間違えだらけだそうです。でも、頭のおかしいマネージャーのせいで酷い目にあってるのは、全部本当だそうです。


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 以下はキース・レルフ(元ヤードバーズ〜ルネッサンス〜ニュー・ヤードバーズ----別の呼び方になるかも----のヴォーカリスト、ハーモニカ・プレイヤー)、ルイス・セナモ(元ルネッサンスのベース・プレイヤー)、マーティン・ピュー (《The Rod Stewart Album》のギタリスト)、ウィリアム・スタウト(Trade Mark of Qualityレコードのカバー・アーティスト)、ベイビー・レイ(Trade Mark of Qualityレコードのカヴァー・アーティスト)、及び、レルフ氏の連れの女性(名前はわからず)の間で交わされた会話である。その内容は、レアで、人には知られていないマテリアルを集めたこのアルバムについてだ。しかし、このインタビューを読み始める前に、次の事実を頭の片隅に入れておいていただきたい。この会話の中で〈Baby What's Wrong?〉に触れている部分があるが、この曲はこのアルバムには収録されていない(契約上の理由で)。


キース・レルフ:オレもどこかの時点で引退しなきゃいけないんだろうな。
ベイビー・レイ:はい、これ。

(テープが始まる)



ウィリアム・スタウト:まずはブルーズから。
レルフ:これは何?
スタウト:知らないの?
レルフ:ああ。
スタウト:〈Shapes in My Mind〉のB面の〈Blue Sands〉だよ。
レルフ:ああ、これはオレじゃない。これはインチキだ。え〜とね、演奏してるのはオレじゃないんだ。当時のマネージャーのサイモン・ネイピア=ベルは、オレをポップ・シングルのシンガーに変えたかったんだよ。B面を録音してる時間は全然なかったから、他の誰かにやらせたんだ。
スタウト:ということは、これはスタジオ・ミュージシャンだけで作ったの?
レルフ:最低だよな。次に行こうか。



〈I Wish You Would〉のスタジオ・バージョン

レルフ:これは何?
スタウト:ギターはクラプトン? これはキースのハーモニカ・ソロの入ったロング・バージョンだよ。こっちが最初のバージョンで、アルバム《For Your Love》に入ってるのは2番目のバージョンじゃないかと思う。
レルフ:この曲をレコーディングしたのは1回だけだよ。このトラックはどこにあったの? オレにはこのトラックの出どころはわからないなあ。レコーディングの時期も。
スタウト:このバージョンは全然覚えてないの? ヤードバーズがあの頃、どういうふうに作業してたのかは知らないけど、まずはラフなスタジオ・テイクを作ってから、それを進化させて最終テイクになってくんじゃないの?
ルイス・セナモ:BBCでやった仕事じゃないかな。
スタウト:そうかも。
レルフ:オレにはわからないなあ(…笑)。とても正確な演奏だから、スタジオでやったものだろう。感情は剥ぎ取っちゃってあるよね。このレコードにはライヴは入ってないの?
スタウト:あるよ。…ハーモニカは誰から影響を受けたの?
レルフ:そうだなあ、最初に影響を受けたのはジミー・リードかな。主にソニー・テリーとジミー・リードだ。ヤードバーズが軌道に乗ってきた頃だ。
スタウト:誰からの影響だって判じるのは難しいなあ。
レルフ:ハーモニカの演奏はそんなに影響は受けてないよ。それがきっかけだったって話さ。…言葉で説明するのは難しいな。はっきりとこれだとは言えないよ。
ベイビー・レイ:キースじゃないとしたら、一体誰が? これはあなたが演奏してるんじゃないの?
レルフ:これはオレの演奏だ。ただ、いつ頃の演奏なのかはわからない。エリックがいた頃だ。たぶん、イングランドで録音したんじゃないかな。
レイ:アメリカでもたくさんレコーディングはした?
レルフ:いや。こっちでは全然やらなかったよ。R・G・ジョーンズみたいだな。ウィンブルドンにある。
レイ:R・G・ジョーンズ?
レルフ:そう。
レイ:その人、誰?
レルフ:サウス・ロンドンにあるスタジオだ。
スタウト:エンディングは〈I'm A Man〉だ。
レルフ:'64年頃かもしれないなあ。シングル・バージョンを録音する前のやったもののようだ。正確にはわからないけど。



〈Baby What's Wrong?〉

レルフ:どこからこういうものを集めてきたんだよ?
スタウト:ヘッヘッヘッヘッ、この曲は知ってるかな?
レルフ:これは絶対にR・G・ジョーンズだ。…一体どこからこれを見つけてきたんだよ?
スタウト:これはガス・ヴァーノン・テープだよ。もっと持ってないのかなあ? エリック時代のヤードバーズの未発表音源はたくさんあるの?(この質問はあくまで歴史的興味から訊いてみたものだ)
レルフ:たくさんあると思うよ。かなりたくさんね。エリックだ。(リード・ギターを聞きながら)…ポール・サムウェル=スミスはレコーディング・セッションのために、3インチ・スピーカーの付いてるテレビのキャビネットを改造して、親父さんのオーディオ・セットからクオードのハイファイ・アンプを引っ張り出して持って来た。
スタウト:ヤードバーズは、この曲の頃にはイングランドでは有名だったの?
レルフ:ヤードバーズが何?
スタウト:ファンはいたんですか?
レルフ:この時点ではまだ駆け出しだから、いなかった。ファンと言える存在はなかった。まだ…。
スタウト:まだ、マーキーに出演するようになる前だよね。
レルフ:そう。前だ。そうすることが出来るように頑張ってる頃だった。ジョルジョ・ゴメルスキーがバンドの可能性を引き出そうとレコーディングを設定してくれたんだ。
スタウト:最初はどんな機材を使ってたの?
レルフ:エリックはワトキンス・ドミネーターを通してたと思う。



〈Questa Volta〉

レルフ:あぁ〜!(大爆笑)
スタウト:この曲はどういう経緯でリリースされたの?
レイ:イタリアじゃ大ヒットしたんだよね。
スタウト:そう。どうしてイタリアで売れたの?
レルフ:マネージャーが、音楽に対する考え方がとても大陸ヨーロッパ指向な奴で、ヤードバーズをサンレモ音楽祭で演奏したR&Bグループ第1号にしようと思ったのさ。ティアラや黒ネクタイっていう、とてもストレートなイベントだよね。それで、まったくもぉ、オレにこの曲を歌わせたわけさ。
レイ:歌詞を覚えるのは大変だった?
レリフ:今でもどんな意味なのかわからない。
スタウト:この曲でバック・ヴォーカルを歌ってるのは誰?
レルフ:全く知らない。
スタウト:愉快なイタリアの女の子たちがスタジオに入って来たとか…。
レイ:イタリアでレコーディングしたの?
レルフ:ストリップのCBSでやったんだ。オレたちには頭のおかしいマネージャーが何人かいたんだよ。
スタウト:クリス・ドレヤが何を演奏してたか覚えてる?
レルフ:演奏してないよ。でも、この曲を書いたのはクリスだ。
レイ:ヤードバーズが演奏したんじゃないの? だとしたら誰?
レルフ:ヤードバーズじゃない。オレと何人かのセッション・マンで録音した。
レイ:それじゃ、これは実質的にはキース・レルフのソロ・シングルじゃないか。
レルフ:そんな大したもんじゃない。キース・レルフの神経衰弱って言うほうが正解に近い。
スタウト:他のメンバーはこういう事の成り行きを知ってたの?
レルフ:ああ。知ってたよ。
スタウト:メンバーはそういう態度だったの?
レルフ:ジェフも神経が参っちゃう寸前だった。何度も悪夢を見た。最悪のね。
レイ:オレたちはいい夢を見てるよ。
レルフ:これはそのB面?
スタウト:っていうか、こっちがA面だったの?
レルフ:どうなってんだ、こりゃ!



レイ:これは〈Paff…Bum〉だ。
スタウト:とてもヨーロッパ的だ。
レルフ:だから、オレたちはこのマネージャーをクビしたんだよ。オレたちにそういうものばっかりやらせようとするからさ…。
レイ:これもヤードバーズの演奏なの? それとも、またあなただけ?
レルフ:これもサンレモ歌謡祭用にジョルジョがまとめたものの「1つ」に過ぎない。
レイ:この曲で演奏してるのは誰なの? 別の面と同じ人?
レルフ:そう。
レイ:誰があなたにこの2曲をやらせたの?
レルフ:マネージャーさ。
レイ:どの?
レルフ:ジョルジョ・ゴメルスキーだ。
レイ:まだミッキー・モストじゃなかったんだね。
レリフ:ああ、まだだ。そいつになるとさらに悪くなる。
スタウト:ということは、ジェフは参加してないんだ。
レルフ:いや、ソロはジェフが弾いてると思う…。もちろん、強制されて。
レイ:これはいつ録音したの?
レルフ:いつ? '65年前半頃だ。おかげでヤードバーズはポップ・バンドに変わったんだ…。
レイ:「イー…イー…イー」って言ってるのはキース?
レルフ:いや。あれはサムウェル=スミスだ。キミたち、本当に酷いもんをこのアルバムに入れたんだなあ。



〈Psycho Daisies〉

レイ:ヤードバーズの中で一番聞きたい曲だ。
レルフ:最近は、昔よりマシに聞こえるよ。
スタウト:歌っているのはベック?
レルフ:そう。
スタウト:この曲にはベックとペイジ両方がいるの?
レルフ:いや、ジェフだけ。メアリー・ヒューズのことを歌ってるんだ。
レイ:メアリー・ヒューズって誰?
レルフ:ジェフはメアリーっていう若手女優に恋しちまった。おっと、オレは発言に気をつけたほうがいいな。

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レイ:それじゃメアリー・なんとか。メアリー・Xにしよう。
レルフ:ジェフはメアリー・Xとの恋を優先してヤードバーズを辞めたんだ。
スタウト:ひゃあ!
レルフ:ツアーに戻らなきゃいけなかったのに、ジェフはハリウッドから離れたがらなかった。
スタウト:ペイジがこの曲で演奏してるって言ってるのを、どこかで読んだことがある。
レルフ:参加してないよ。ペイジはプレイしてない…。(「そこでは何もかもがメアリー・ヒューズとスイングしてる…♪」と歌いながら…)
レイ:それはテキトーな名前だと思ってたんだけど、実在の人物の名前なんだね!
スタウト:ここでは「メアリー・X」にしとこうよ。
レルフ:ああ、そのほうがいい。
セナモ:ここに入ってたら皆に聞かれちゃうだろうに。





〈Shapes in My Mind〉

レルフ:別のマネージャーもオレをシングル向きのポップ・スターにしようとしたんだ。ソロ・シングルとかを出してさ。
レイ:この曲は好きじゃなかったと。
レルフ:全然ね。
レイ:オレはこの曲のどっちのバージョンも好きだなあ。ここでは誰が演奏してるの?
レルフ:セッション・マンだ。当時、グループに入る前には、ジミー・ペイジがセッションの仕事をたくさんやってたよ。ビッグ・ジム・サリヴァンとジミー・ペイジだ。
スタウト:ビッグ・ジム・サリヴァンは何を演奏したの?
レルフ:リズム・ギターだけ。
レイ:どのマネージャーにこの曲を無理矢理やらされたの?
レルフ:サイモン・ネイピア=ベルだ。
レイ:たくさんのマネージャーがいたんだな。
レルフ:ああ。数人かな。
スタウト:誰がヤードバーズの一番良いマネージャーだった?
レルフ:最初の頃のジョルジョだ。
スタウト:ピーター・グラントもマネージャーだったよね?
レルフ:最後にね。
スタウト:この曲を録音した時、あなたは国際的ポップ・スターになるよう頑張ってたんでしょ?
レルフ:そんなことはない。
スタウト:あなたとスコット・ウォーカーが…。
レルフ:絶対にないよ! オレはグループにいて本当に満足してたんだ。…確かに、イングランドでいくつかのTVショウに出てこの曲を歌ったけどさ。『レディー・ステディー・ゴー』とかさ。
スタウト:バージョンIとII、どっちが最初なのかな?
レルフ:う〜ん、わからないよ。キミらがどこからこうしたトラックを手に入れたかは知らないけど、…オレが1バージョン作ると、誰かが編集とミックスをやって別のバージョンを作って、それでここに2種類あるんだよ。
スタウト:変わった曲です。バラードの歌なのに、ベースは派手にブンブン鳴ってるね。
レルフ:バラード風だ。…でも、気持ちが全然こもってないな。
レイ:どういう経緯でマネージャーたちはキースにこういう曲をやらせたの? あなたはどう思ってたのさ?
レルフ:オレかい? 言うことに従ってただけさ。
レイ:この曲をTVで歌ったの?
レルフ:ああ。かなり未熟だったなあ、オレ。
スタウト:この曲のイングランドでのチャート・アクションはどうだったの?
レルフ:鳴かず飛ばず。
スタウト:ヤードバーズ史上、最大のヒット曲は何?
レルフ:〈Shapes of Things〉だと思う。
レイ:こうしたトラックはいつ録音したの?
レルフ:'66年後半頃だ。



レイ:〈Mr. Zero〉は気に入ってるの?
レルフ:いや。オレは合わない場所に押し込まれたようなもんだった。オレはグループと一緒のほうがうまくいくんだ。そのほうが自由になれる。でも、この曲はオレには不自然だ。当時もそう思ったよ。だからうまくいかなかったんだと思うよ。
レイ:ヤードバーズのメンバーは参加してるの?
レルフ:誰も参加してないね。
スタウト:解散してからヤードバーズのメンバーとは会ったの? ポール・サムウェル=スミスとは?
レルフ:ああ、ポールには会ったよ。ジェフにもジムにもね。オレとジムは親友だ。クリスもね…。
スタウト:ジムのグループ、シュートの活動状況は知ってる?
レルフ:知らないなあ。あいつがこのバンドでこっちに来てるって耳にしたことはあるけど、それだけだ。元気にやってるかどうかは知らない。



〈She Just Satisfies〉

スタウト:これは聞いたことがあるかなあ? これはジミー・ペイジが出した〈She Just Satisfies〉っていうシングルで、キンクスのセッション('65)の直後に録音したものなんだ。ジミーがドラム以外の全ての楽器をプレイしている。
レルフ:知らないなあ。聞いてみようか。とても古くさいな。
スタウト:昔のキンクスみたい。
レルフ:ああ。…この曲については教えてあげられることはないよ。
レイ:まあまあの曲かな。
レルフ:ジミーがバンドに入る前のものだ。前だね。
レイ:聞いたことあった?
レルフ:ない。
レイ:次の曲にいく前にちょっと待って。B面で…レコーディングした曲で、キースが気に入ってるのは何?
レルフ:ヤードバーズで?
スタウト:そう。あなたが気に入ってる曲は?
レルフ:正直言って、オレたちが録音したものは、どれもあまり気に入ってない。レコーディング・セッションとなると、ライヴでやってることが全然捉えられてないって感じてたからだ。冷たい環境の中で、おとなしく座って正確な演奏を作ろうって頑張っても、うまくいかなかった。ヤードバーズは興奮してる環境じゃないと、つまり、そういう場所だったり、観客がいたりしないと調子が出ない、レアなバンドの1つだった。ヤードバーズの本質を一言で表すことが出来るとしたら----ヤードバーズを一言で説明するとなると----「興奮」かな。でも、それがあまりに「生{なま}」過ぎてテープには記録することが出来なかった。たぶんね。16トラックの設備があって、やりたいことが何でも出来たら、それを捉えることが出来たかもしれないけどね。たくさんの音を1度にストレートにモノラルに入れるなんてことをよくやってたんで…バランスは担当者次第だった。
スタウト:これは裏面。



〈Keep Moving〉

レルフ:ひっくり返してくれ。この曲について話せることは何もないから。
レイ:コンサートは何度も録音してるの?
レルフ:いや。あのファースト・アルバムだけだ。マーキーで録音した《Five Live Yardbirds》と、それから最後のもの。フィルモア・イーストだったっけかなあ。いや…。
スタウト:アンダーソン・シアターだ。
レイ:出ることは誰かが教えてくれたんじゃないの?
レルフ:いや。知らなかった。
レイ:スタジオでレコーディングするのが嫌だったら、ライヴ・レコーディングすることは考えれば良かったのに。
レルフ:それはねえ、オレたちには決定権がなかったんだよ。全てはマネージャーやレコード会社の手に握られてたのさ。今とは時代が違うんだよ。今は自分のことは自分で決めてるけど、昔はそんな権利なかったんだ。ポップスの時代だった。ポップ・バンドだったってことは、操られてたってことさ。
スタウト:ディック・クラークのツアーに参加したよね?
レルフ:ああ。
スタウト:1日2公演やったんでしょ。
レルフ:ある時なんて、午後のショウをやった後、200マイル移動して夜のショウをやった。それが済むと、次の日の午後のショウのために、夜の間に移動した。
レイ:ギャラは良かったんでしょ?
レルフ:全然。
スタウト:ディック・クラーク・ツアーなのに? ウソでしょ。ベイビー・レイ、お前も冗談だって思うだろ。
レルフ:ディック・クラークは金払いが悪かった。…演奏はもっとやれって要求するくせにさ。
レイ:殆どのトラックは『シンディング』で披露したライヴ演奏だ。
スタウト:『シンディング』用のレコーディングは『トップ・オブ・ザ・ポップス』『レディー・ステディー・ゴー』と同じようなものだった? こっちのほうが制約が少なかった?
レルフ:『レディー・ステディー・ゴー』はいつも生演奏だった。これは…。



〈For Your Love〉

スタウト:これは『シンディング』だ。
レルフ:ライヴじゃないね。
スタウト:ライヴだよ。
レルフ:これはライヴだよ。ジェフが12弦ギターを弾いてる。
スタウト:ジェフのギタリストとしての最大の長所は何だった?
レルフ:…ああいうプレイが何にも拘束されずに自然にぽんぽん出てくるところだ。乗ってる時には、自分という存在も忘れて爆発する。そんな時、ジェフは自分の問題も忘れちまってたよ。
スタウト:なるほど…。



〈Shapes of Things〉

レイ:これは素晴らしい。このショウは覚えてるでしょ。
レルフ:もちろん。
スタウト:ドラム以外はレコードだ。
レルフ:ドラムだけライヴ。(笑)
スタウト:地方のTV番組にはよく出たの?
レルフ:これは『ロイド・サクストン・ショウ』だ。
レイ:覚えてるの? ロイド・サクストンみたいな連中のことはどう思ってたの?
レルフ:オレが連中のことをどう思ってたのかって?
レイ:そう。ステージに登場して、バカなことやって笑いを取って…。
レルフ:バカなことやってるなあって思ったよ…。
レイ:…あれこれ質問されてるけど…
レルフ:答えようがなかったよ。当時、オレはああいうことは全部、糞だと思ってた。不満だらけだったよ。
レイ:確かに、楽しそうにはしてませんね。
レルフ:オレが楽しいのは演奏してる時だけ。ステージに立って…そこに観客がいる環境で演奏してる時だけ。(フィードバックに関するサクストンの質問にレルフが答えている様子を聞いて笑う)



〈Hang on Sloopy〉

スタウト:これはリッチモンド・ジャズ・フェスティヴァル…。
レルフ:リッチモンド・ジャズ・フェスティヴァル? どこからそれを手に入れたんだよ?
レイ:『シンディング』で放送されたんだ。
レルフ:あぁ、そうなんだ。
レイ:ヤードバーズが2曲、ザ・フーが2曲放送されたよ。
スタウト:《For Your Love》のアルバムではベックは〈Hang on Sloopy〉でギターを弾いてるの?
レルフ:あぁ。
スタウト:ライヴで演奏する時には、誰がヴォーカル・ハーモニーを歌ってたの?
レルフ:ポールとジェフだ。
スタウト:ヤードバーズが解散してから、クリス・ドレヤとは会った?
レルフ:あぁ。
スタウト:写真家として活躍してるの?
レルフ:そうだよ。詳しくは知らないけど、うまくやってると思うよ。
スタウト:ヤードバーズの演奏する〈Hang on Sloopy〉を聞くたびに、この曲をやったのは皮肉なんじゃないかと感じるんだ。
レルフ:その通りだよ。
スタウト:物真似みたいに…。
レルフ:マッコイズの?
スタウト:…売れ線のバンドの…そう、マッコイズ。昔は女の子の絶叫が大き過ぎて、演奏は聞こえなかったの?
レルフ:その様子が聞こえるだろ。
スタウト:それで困ってたの? それとも、見て笑ってただけ?
レルフ:シーンの一部ってだけさ。
スタウト:叫ぶオーディエンスから聞くオーディエンスに変わった時にはどう感じた? それって徐々に?
レルフ:もちろん、だんだんと良くなっていった。ずっと居心地の良い状況になっていったよ。この曲(〈Hang on Sloopy〉)はバカげた時期のものだ。
スタウト:リッチモンド・ジャズ・フェスティヴァルってジャズに限定してなかったんだね。
レルフ:そうだね。出来損ないのポップ・イベントになってしまった。
スタウト:出来損ない? 運営を誤ったとか?
レルフ:いや、運営は問題なかった。対処しなきゃいけないことがいろいろあってさ。その一番悪い面が出ちゃったんだ。ああいう状況では良い音楽は演奏出来ないよ。
スタウト:アウトドアだったの?
レルフ:そう。動き回って、皆を煽って。オレたちがリッチモンドでやったのはそれだけ。
スタウト:ヤードバーズで、フレットを塞いで「ピキピキピキ」っていう技を使った最初のギタリストは誰なの?
レルフ:エリックだ。
スタウト:エリックのプレイについて一番気に入ってるのはどんな点?
レルフ:フィーリングと巧みな指さばき。ブルースのフィーリングだと思うよ。…それがエリックさ。
スタウト:歌詞の殆どはキースが書いてたの? レーベルには「作曲:ヤードバーズ」って書いてあるけど。歌詞の殆どはキース?
レルフ:この曲では違うよ。



〈Heart Full of Soul〉

スタウト:この曲は…。
レルフ:…グールドマン。〈For Your Love〉とこの曲。最初の2曲のヒットはグレアム・グールドマンが書いた。
スタウト:バンドの友人だったの?
レルフ:マネージャーの友人だった。
レイ&スタウト:なるほどぉ。
レルフ:…その後、オレたちは自前で曲を書き始めたんだ。〈Shapes of Things〉や〈Over Under Sideways Down〉とか、B面曲全部とか。
スタウト:バンドで曲を書く時には、歌詞はたいていキースが書いてたの?
レルフ:そう。
スタウト:10cc(グレアム・グールドマンが今やってるバンド)は聞いたことある?
レルフ:あぁ。
スタウト:好きだよ。
レルフ:とてもね。いいバンドだ。
スタウト:バンドが書いたのではないマテリアルは誰がやろうって言い出したの? 〈I'm a Man〉(今、この曲が流れている)とか。


   







レルフ:誰が選んだのかってこと?
スタウト:そう。
レルフ:グループの総意かなあ…。
スタウト:誰かが「この曲はどう?」って言うと、バンド全員が「いいね」って言ったの?
レルフ:選び方の1つとして、ボ・ディドリーのアルバムからストーンズが使ってない曲を選んだ場合もあった。わかるだろ。(曲が盛り上がってる部分に差しかかる)ライヴではこういうことがよくあった。
レイ:何が起こるか聞いてみよう…。
レルフ:そういうことが起こると気分が乗るよね。(MCとしてジョージ・チャキリスが登場したので笑)…この曲、もう1度最初から聞いていい?
レイ:1曲全部?
レルフ:番組用に曲を短くしなきゃいけないことがあった。いきなりクライマックスの部分を演奏してくれって頼まれた。普通は、クライマックスに向かって徐々に盛り上がっていくものだ。いきなりクライマックスっていうペースじゃないから、ここ? そこ? いったいどこだよ?って感じだった。
スタウト:今でもいろんなバンドが昔のリフを使ってるよね。フォガットの〈Honey Hush〉は聞いたことある? 同じリフなのに、昔の人ほどパワーが感じられない。
(曲が突然終了する)
レルフ:どうしたの?
レイ:番組がそうだったんだ。出演した後に放送は見てないの?
レルフ:見てないね。
レイ:全然見てないんだ。あんなふうにカットされちゃってたんだぜ。
レルフ:全く知らなかった。
スタウト:ジミーとジェフがヤードバーズに同時に在籍してたことがあるでしょ。プレイの際に互いにぶつかることもあったんじゃないの?
レルフ:ジミーはベース・プレイヤーとして加入して、しばらくしてから、ギターに替わったんだ。(曲を聞く)…ジミーが弾いてるね。この後で説明しよう。(曲を聞く)
スタウト:ジミーとジェフの両方がプレイしてるレコーディングは、映画『欲望』のためにやった〈Stroll On〉と〈Happenings Ten Years Time Ago〉しか思いつかないな。
レルフ:『欲望』ではやってないよ。
スタウト:『欲望』の〈Stroll On〉だよ。



レルフ:ふたりが一緒にプレイしてるレコーディングはないよ。しばらくデュアル・リードを試してみたけど、うまくいかなかった。
スタウト:『欲望』ではジェフとジミーが弾いてるはずだ。映画ではジミーがリード・ギターを弾いてたのを覚えている。レコードでもジェフ・ベックとジミー・ペイジのプレイが聞こえるよ。オレの想像なのかなあ?
レルフ:キミの想像だ。
スタウト:それじゃ、セカンド・リードを弾いてるのはクリス?
スタウト:そう。
スタウト:マジか。
レルフ:たぶん、ギターはオーバー・ダブされたんじゃないかな。ジェフとジミーが一緒に演奏してるレコーディングは皆無だ。(テープの曲が終わる)
レイ:もう1度、何か聞きたい? 興味本位でいいんだけど。
レルフ:もっとあるの?
レイ:いや、これだけ。キースがもう1度、聞きたい曲があるかなあと思って…。
レルフ:特にないよ。
レイ:〈Questa Volta〉はもう聞きたくないよね。
レルフ:あぁ。
スタウト:(笑)
レルフ:キミたちが持ってるのは最悪の曲ばっかだ。
レイ:出回ってない曲は他に何か心当たりない? ソロの曲はどのくらいレコーディングしたの? 以上の3曲だけ?
レルフ:そう。
レイ:それで全部? 4枚目、5枚目はは録音してないんだね?
レルフ:してないよ。あのバラードの曲はオレをソロ・シンガーにしようって画策したものだけど…。
スタウト:あぁ、あれね。
レイ:どのバラード? 〈Shapes in My Mind〉?
レルフ:それだ。
スタウト:昔からずっとポール・ジョーンズみたいな感じだね。
レルフ:そんなことない!
レイ:ああいう曲は全部気に入らなかったの? オレはソロ曲もここに入ってる曲も好きだけどなあ。ライヴは例外として。
レルフ:そうなんだ。
レイ:オレは〈Psycho Daisies〉やあなたのソロ2曲も好きだよ。特に〈Shapes In My Mind〉のホーンが入ってるバージョンがね。
レルフ:勘弁してよ。オレはステージでバンドと一緒に思い切り演奏してなきゃ満足出来なかった。
レイ:ああした曲も、バンドと一緒に演奏してたら、気に入ってたかもしれない? 
レルフ:気に入ってないと思うよ。正直言って、全然オレ向きじゃない。全然オレに合ってない。
スタウト:ジミーは、あなたがヴォーカルで〈Tangerine〉をレコーディングしたって言ってるんだ。ヤードバーズで〈Tangerine〉を録音したって。後になってレッド・ツェッペリンのアルバムに入った曲だよね。
レルフ:録音してないよ。
スタウト:1つ前のバンドでレコーディングしたのにリリースされてない曲はたくさんあるの?
レルフ:あまりないよ。バンドをたたむ直前にニューヨークで4曲くらいやったけど、どこの国でもリリースされてないと思うよ。
スタウト:そのテープは持ってないの?(笑)
レルフ:ないよ。アクセスする術{すべ}もない。
スタウト:レコード会社からは印税をごまかされてたの?
レイ:今は印税をもらえてるの?
レルフ:ああ。…一部ね。時々。
レイ:《Greatest Hits》と《Rave-Up》以外は、あなたの曲は全然出てないんだ。
レルフ:昔のレコードがどうなったのか、あまり知らないんだ。常にチェックしてるわけじゃないからね。
スタウト:全部あなたの実績でしょ?
レルフ:あぁ。何があったの?って、もう過去の話だよ。
スタウト:ルネッサンスのオリジナル・ラインナップで作ったセカンド・アルバムがあるって聞いたよ。
レルフ:うん、あったよ。
スタウト:どこかの国でリリースされたの?
レルフ:ドイツで発売されて、ヒットしたんだ。でも、それには笑っちゃう話があってさあ。そっちはルイスに訊いてよ。ルイスもあのバンドにいたんだからさ。
セナモ:ほぼオリジナル・メンバーだったかな。
1トラックだけ2番目のラインナップだった。ドイツでは出たんだけど、バンドは既に解散しちゃってたんで、アイランドがリリースを渋ったんだ。他の国でも同じだ。リリースしてもらえなかったのは、アルバムが完成する寸前にバンドが解散して、レコード会社の気分を害したからだ。
レルフ:バンドが解散すると、レコード会社から時々そうされる傾向がある。
スタウト:同じレコード会社が正反対のこともするよね。スタジオ・ミュージシャンを使って架空のグループ名でアルバムやシングルを出すとかさ。
レルフ:そう。よくわからないよな。解散した時点でもバンドはまだよく売れてたんだから、レコード会社はみすみす大金を逃したことになる。
スタウト:今出てるルネッサンスのセカンド・アルバムには、ふたりは関与してるの?
レルフ:してない。
スタウト:あのアルバムを買ってみたら、同じようなタイプの音楽だったのに、メンバーが全然違ってたんでビックリしたよ。
レルフ:オレは全然関係ないんだ。その裏にある話はね…タバコはどこ?…オレたちはバンドに興味がなくなったんで、ピアニストに名前をやったんだ。そいつは、その後2週間くらい続けて、仲間を集めたけど、バンド名をそいつらに託して辞めちまった。そしたら、残った連中も辞めちまって…。よくある話さ。連中が辞めた時、誰かがバンド名を引き継いだ。それが3番目のバンドってわけさ。
スタウト:彼らは今でもやってるよね。
レルフ:あぁ、やってる。
レルフ:それって迷惑じゃないの? 多くの連中は、キース・レルフが入ってることを期待してそのアルバムを買うんだから。
スタウト:オレもそれを期待してセカンド・アルバムを買った口だ。「キース・レルフの新アルバム出たぜ!」って思いながらさ。
レルフ:オレのミスだね。オレはいつも、ただ出て行くだけ。オレの中には牡羊座のそういう性質があるんだろうな。
スタウト:ルネッサンスのアルバムはあなたが欲してたサウンドを反映していたの?
レルフ:微妙だったよ。
スタウト:ヤードバーズみたいに、ライヴのほうが良かったバンドだったの?
レルフ:いや。ルネッサンスは独自の力で進化して、それが少し手に負えなくなったんだ。つまり、もっと…どう説明したらいいかな…表現方法の問題だった。構成とかさ。オレはエレクトロニクス方面のことをやりたいと思ってたんだけど、それをやるのに先立つものがなかったんだよ。やりたいことをやるための金がなかったんだ。それでああいうふうに終わっちゃったわけさ。
スタウト:新しいヤードバーズはどういう方向に進む予定なの?
レルフ:ニュー・ヤードバーズは…「ニュー・ヤードバーズ」って名前になるかどうかはわからないんだけど…はるか彼方まで行くことになるよ。〈I'm A Man〉や〈I Wish You Would〉の中にあったエネルギーを、そのままの状態というよりはむしろ、もっと優れたミュージシャンシップと、もっとしっかりコントロールした方向にもって行きたいんだ。即興もたくさん入れたいな。…さて、どうなるか…(ルイスとマーティンに対して)オレたちが今やってることを、お前らだったらどう説明する?
セナノ:あぁぁ…。
レルフ:まあ、いろいろ考えてるってことだよ。
セナノ:とてもヘヴィーだけど、そんなに質素ではない。
レイ:シンセサイザーをプレイするの?
レルフ:もちろん。
レイ:前にはやってないよね。
レルフ:あぁ。
レイ:ルネッサンスを離れてから、ずっとそういうことをやってるの?
レルフ:サウンドの実験をずっとやっている。
スタウト:今でもハーモニカは吹いてるんでしょ?
レリフ:もちろんさ。
スタウト:いいね。
レルフ:オレは歌って、ハープを演奏するんだけど、もっと音で絵を描いてみたい。音で描くっていうのは、ある意味、ヤードバーズもそれを目指してたんだけどね。〈Still I'm Sad〉とかさ。〈Turn Into Earth〉は聞いたことある?



スタウト:もちろん。
レルフ:今、取り組んでるのはさまざまな心的状況の表現だ。それに、たくさんのエネルギーを放出するようなものだ。
レイ:最後のほうでは〈Little Games〉〈Tinker, Tailor, Soldier, Sailor〉みたいな曲をやってたよね。
レルフ:あれはミッキー・モストの助言だった。
レイ:助言ていうよりは…
スタウト:…支配でしょ。
レルフ:支配だね。完全に支配されたよ。最後のほうになるとバンドは方向性を見失ってて、ミッキーが引き継いでる状態だった。あいつがドノヴァンを支配してたのと似たような状況だった。ミッキー・モストはポップ・シングルのプロデューサーだった。
レイ:でも、ドノヴァンとはうまくいってたよね。
レルフ:そうだね。
スタウト:ドノヴァンの方向性に合ってたんじゃないかな。ハーマンズ・ハーミッツみたいな奴だったから。
レルフ:そうは思えないけど。
レイ:ミッキーはドノヴァンの大ヒット・アルバムをいくつかプロデュースしたよね。
レルフ:やってないよ。
レイ:〈Mellow Yellow〉や〈Sunshine Superman〉をやってなかったっけ?
レルフ:いや。(インタビューの後に以上のアルバムを確かめてみたら、ミッキー・モストのプロダクション・クレジットは確かにあった)
レイ:やったと思うんだけどなあ。確証は出来ないけど。
レルフ:やってない。ドノヴァンとミッキー・モストの協力関係はもっと後になってからだ。…ジェフと一緒にやったのは何だったっけ?
レイ:〈Barabajagal〉。
レルフ:ああ、それと…。
レイ:〈Trudi〉。
レルフ:(歌いながら)「first there was a mountain, then there was a mountain, then there wasn't…♪」
レイ:ベックが辞めてペイジが加入した後に、ヤードバーズは方向性を見失い始めたの?
レルフ:そうだと思う。
レイ:そこからトラブルが始まったんだね。
レルフ:そう。
レイ:ベックの新しいアルバムはどう思う? 《Beck, Bogert and Appice》とか。
レルフ:う〜ん、これぞジェフ!だよね。素晴らしい!
レイ:ジェフはいつもあのくらいヘヴィーだったの?
レルフ:ああ。
レイ:このバンドの曲の中でも、単に「ブーン・ブーン」てやってるより、テクニック的にもっと優れたものがある。
レルフ:どれよりも? シングルよりも? バリトンで歌ってるやつ?
レイ:ライヴの曲では誰が弾いてるのかハッキリとはわからないんだけど、たぶん…。
レルフ:ベックだよ。
レイ:全部ベック?
レルフ:う〜ん、そう。
レイ:他よりカッコいいものがあるんだよね。例えば…。
レルフ:何かな? 〈I'm A Man〉と…。
レイ:そう。ただ「ブーン・ブーン・ブーン」ってやってるだけの曲じゃなくて…スティーヴィー・ワンダーのあの曲だ。
氏名不詳の女性:〈Superstition〉
レイ:〈Superstition〉だ。音の壁だよね。
レルフ:これぞジェフだ…。
レイ:ジェフはむかしからああいうプレイをしてたの? 今までは、なかったと思うんだけど。
スタウト:(ベイビー・レイに向かって)それよりも前のジェフのアルバムは聞いただろ?
レルフ:《Beck-Ola》は?
レイ:…でも、昔はなかったよ。
レルフ:あったよ。ジェフのギター・サウンドは昔から超ヘビーだった。ジェフのギターは文字通り音の壁だった。いつもだ。
レイ:ジェフの後ろにいる人の違いかなあ。
レルフ:オレはジェフが大好きだ。何をやっていようとね。心からそう思う。
レイ:オレもジェフがやってることは好きさ。ジェフと一緒にやってる連中が違うんだよ。
レルフ:エリックがやってることも好きだ。エリックが何をやろうとね。
レイ:ああ。今後は何かやるかなあ?
レルフ:今は何もやってないんだよなあ。
レイ:何年休むつもりなのかな? もう2年になる?
スタウト:『フリー・プレス』紙に載ってたジミー・ペイジ・インタビューは読んだ? ジミーがエリックのことを話してるんだけど、アメリカ人ミュージシャンと演奏するようになってから、エリックのプレイは衰えてきたって言ってたよ。
レルフ:う〜ん、それはありうるかもね。一緒に演奏したせいかもしれないし、会ったこと自体がいけなかったのかもしれないし。
レイ:エリックのソロ・アルバムは好き?
レルフ:どれ?
レイ:《Eric Clapton》さ。デラニー&ボニーやいろんな人と作ったやつ。ギター・プレイは別として、ああいう音楽は好き? 言い換えると、デラニー&ボニーは好き? 
レリフ:いや、それほどでも。特に好きってわけじゃない。
レイ:《Layla》は気に入ってる?
レルフ:好きだよ。こういう話はあまりしたくないな。誰が何をやろうと、そいつの勝手なんだからさ。それを好きとか嫌いとか言う義務はオレにはないね。
レイ:昔のレコーディングのことはよく覚えてる? ずっと前にレコーディングした〈Baby What's Wrong〉のレコーディング・セッションのことは今でも覚えてる?
レルフ:ああ。'64年頃だ。
レイ:覚えてるね。
レルフ:そのくらいならね。
レイ:〈Shapes in My Mind〉は? 覚えてる?
レルフ:覚えてるよ。ニューヨークでやったんだ。参加したのはオレだけ。マネージャーが既にバック・トラックを完成させていて、「スタジオに入って歌え」って言った。それだけだ。
レイ:2回歌った?
レルフ:ああ。
レイ:2つの違うバージョンが…。
レルフ:そう。2テイク歌って、マネージャーが編集した。
レイ:このテープには2曲とも入ってるんだ。どっちが正式にリリースされたものか知ってる?
レルフ:いや。キミがかけてくれた最初のものが発売されたものだ。
レイ:…ホーンの入ってないほう。
レルフ:そう。はるか昔のことだ。何月何日のことだとか、詳しいことを話すのは無理だ。あれからいろんなことをやってきたから。
レイ:記憶はどんどん霞んじゃうのものだし。
レルフ:実際、キミたちがここに持って来たものは全部、不要品かしまちゃったものだ。
スタウト:「地面に散らばった人の出したゴミ…」[何かの歌?]
レルフ:…捨てちゃったもの、忘れちゃったもの、しまい込んじゃったものについて話してくれっていうのが一番大変なんだ。
レイ:発売された曲の中で気に入ってるプロダクションのものはある? 〈Still I'm Sad〉がそう? 今でも〈Still I'm Sad〉はライヴで披露してる?
レルフ:もちろん。
レイ:コンサートでの演奏のほうがいい? それとも、スタジオ・バージョン? この曲には奇っ怪なスタジオ・エフェクトが入ってたよね。
レルフ:確かに。スタジオでああいうムードを出すとなるとエフェクトが必要なんだけど、ライヴで演奏するとなると自然とフィーリングがわいてくるんだ。ああいうシングルを作って、それがヒットか何かすると、コンサートでは必ずプレイするようになる。オーディエンスはシングルの演奏を覚えてるから、ライヴでそれを見ると違うって感じる。オレたちはシングルでやった通りにやらないし、録音した時にはどういうサウンドだったかなんて覚えてない。でも、観客はまずシングルを覚えて、それからライヴを見に来るんだ。そういうのはもうたくさんだね。
スタウト:多くの観客はその違いを聞きにやってくるんだと思うよ。
レルフ:認識の問題だ。すっかり変わったよ。今の人のほうがレコーディングに近いものを聞きたがる。昔は、ステージに出ていって、レコーディングとある程度似ているものを演奏すればよかった。残りの部分は絶叫にかき消されていた。…昔はそうだった。
レイ:そうだったね。〈Hang On Sloopy〉がそういう状況だ。
レルフ:その通り。
レイ:コメントを述べたいって曲はある?
レルフ:今の時点ではないよ。
レイ:「今の時点では」ってどういう意味? 収録曲を全部を聞いたから?
レルフ:こうした曲全部をもう1度聞けて大興奮だ。
レイ:一番嫌いな曲はどれですか?
レルフ:イタリア語の曲かな(笑)。
レイ:…他のトラックと比べると〈Psycho Daisies〉だけは異質だよ。本当に〈Psycho Daisies〉は嫌いなの?
レルフ:あれはジェフの曲だ。あいつの赤ちゃんだ。
レイ:あの曲を書いたのはジェフ?
レルフ:そう。
レイ:あなたはこの曲には全く関与してないんだよね?
レルフ:そう。
レイ:グループの残りのメンバーは参加してるの?
レルフ:ああ。
レイ:この曲、気に入ってた?
レルフ:うん。
レイ:そんなに悪くはない部分はある…。
レルフ:良い部分もある。〈I'm a Man〉や〈I Wish You Would〉といった曲は好きだったよ。『ロイド・サクストン・ショウ』や『シンディング』でやった演奏は気に入ってる。そこでプレイした初期の曲とかはね。でも、イタリア語の曲や〈Shapes in My Mind〉は全然好きになれなかった。酷い代物だ。



レイ:あなたがイタリア語の曲をレコーディングした時には、ストーンズもイタリア語の曲を録音してたのは知ってた?
レルフ:いや。それ本当?
レイ:本当。〈As Tears Go By〉をイタリア語でレコーディングしてるんだ。
レルフ:知らなかったよ。
レイ:超アンバランスで、しかも、ハープシーコードを加えてるんだ。
レルフ:オー・ノー…。
レイ:他のグループとはどのくらい親しかったの? ストーンズのシングルが出ると、それを聞いて「いいね」とか「悪いね」とか「ヤードバーズじゃこの曲はもう録音出来ないな」とか考えたりしたのかな? 何らかの関係はあったのかな? それとも、互いに違う道を進んでただけなのかな?
レルフ:関係はなかったよ。全然違う道を進んでた。ストーンズが何をやってるのか、オレたちは常にチェックしてたけどね。そうする必要があったのは全員だ。
レイ:必ずしもストーンズでなくてもいいんだけど…。
レルフ:オレたちはオレたちの道を進んでた。
レルフ:そうだと思ってたよ。当時の人の多くは一緒に動いてたけど、ヤードバーズは常に、キースの言う通りだった。フィードバックはヤードバーズが開発したものだし。
レルフ:その言い方はかなり違ってるよ。実際には、皆がフィードバックを起こしてたし…。そのうち「お前らはフィードバックを使うバンドだ!」って言われ始めたけど、ヤードバーズがフィードバックを使ってたのは、全然大したことじゃない。ジェフがアンプに近づき過ぎてるうちに、フィードバックをコントロールすることが出来るようになったってだけさ。
スタウト:クラプトンは使ってたのかな?
レルフ:いや。いろんなサウンドを開発したのはジェフだ。ギターでオートバイの音を出してたよ。弦を早弾きしながら演奏中にチューニングを下げちゃうんだ。そもそも、チューニングをしないでステージに出ていってた。しっかりチューニングしたことなんて殆どなかったね。適当にチューニングするとステージに出て、それで平気で弾いちゃう。音をベンドさせてさ。コードはあまり弾かなかった。チューニングが狂ってたらベンドして合わせちゃう。ジェフにしっかりチューニングをさせることは出来ないよ。チューニングが狂いまくったギターでステージに出て行っても、弾くフレーズは全て、調子が合っていた。
スタウト:ペイジはベックよりお行儀のいいプレイヤーだった?
レルフ:そうだった。
レイ:ペイジが入ってベックが出てった時には、何があったの? ミッキー・モストが入って来たのもその頃?



レルフ:その頃だね。〈Happenings Ten Years Time Ago〉はミッキー・モストが関わった最初の曲で、ジェフが参加した最後のレコーディングだった。
レイ:ベックの脱退にはあなたも関与してたの?
レルフ:いや。
レイ:すべてはあの女のせいか。
レルフ:…ベックはモストと一緒に自分のグループのアルバムのレコーディングをした。ツアー生活がジェフの心身にこたえたんだ。ツアーに出たがらなくなった。オレたちは少しの間、ハリウッドにいたんだ。乗り越えるべき辛い時期だった。ディック・クラーク・ツアーの時だったよ。とにかく大変だった。数日間、休みを取ってるうちに、ジェフがハリウッドと恋に落ちてしまった。その頃は、ジミーはベース・プレイヤーだった。オレたちはツアーに出たんだけど、2日目に限界を迎えたジェフは飛行機でハリウッドに戻ってしまったんで、編成を変えてツアーを続けた。クリスはベース・プレイヤーになって、ジミーがリード。ギタリストになった。それがヤードバーズの最終段階だった。
レイ:その時点までは、いいことやってたよ。
スタウト:オレはジミーとレコーディングした曲も好きだぜ。
レイ:いやいや。お前の言いたいことはわかるが、とにかく、以前とは…。
スタウト:違う。
レイ:全然違っちゃってるんだ。キースはそれを全然違っちゃったと見る? それとも、正しい発展として見る?
レルフ:バンドはジミーが加入してからも成長を続けたけど、自分の本当の気持ちに正直になると、ヤードバーズの一番重要な部分は〈For Your Love〉で売れ線のバンドになった時に終わってる。オレにとって一番楽しかったのはエリックがいた頃だ。つまり、ジェフが加入するまでね。その時点からは、ヤードバーズは売れ線バンドになってしまった。アメリカ・ツアーやディック・クラーク・ツアー、一夜だけのコンサートとかいろいろやり始めた。
レイ:…なのに、そんなに儲からなかった。
レルフ:少しは稼いでいたが、それはどこに行ってしってしまったのかなあ。一番幸せだったのは、マーキーやクロウダディーといったロンドンのクラブでプレイしている時だった。エリックがいた頃は、ブルース・バンドだったんだ。
レイ:クロウダディー・クラブではどんなことがあったの? ヤードバーズはストーンズの後に出演するようになったんでしょ。
レルフ:そう。2、3週間くらいは、みんな、ストーンズはどこに行ったの?って言ってたけど、1カ月もすると、オレたちがそこの常連バンドになった。日曜の晩のバンドにね。
レイ:週に1回だけなの。それがどのくらい長く続いたの?
レルフ:皆で大騒ぎさ。とてもハイな時期だった。でも、〈For Your Love〉が出たら完全にポップの世界になっちゃった。その前は純粋に楽しくやってたのにさ。
スタウト:あれをやれとか誰からも指図を受けずにやってたの?
レルフ:その通り。
レイ:《Roger The Engineer》(《Over, Under, Sideways, Down》)に入ってる曲は好き?
レルフ:ああ。あのアルバムはさっさと作った。1週間でレコーディングしたアルバムだ。
スタウト:(息をのむ)あのアルバムは1週間で作ったの?
レルフ:ああ。全てのトラックはその場でやっちゃった。他のメンバーがバッキング・トラックを録音してる間、オレはヴォーカル・ブースで歌詞を書いてたよ。
スタウト:〈Lost Woman〉は?
レルフ:〈Lost Woman〉もそうさ。
レイ:5人全員が全曲書いてるのはそういうわけなのか。
レルフ:そう。あのアルバムは実際には約5日で作った。4トラックで録音したものもあるし、多くの曲はモノで1テイクで録音した。ミキシングなんてやらない。ミキシングは「バランス取れたぜ。さあ、演奏開始」って感じだったよ。
レイ:あの頃は、どのくらいのレコーディングがストレートにモノで録音したものなの?
レルフ:殆どがそうさ。4トラックに分散して録音したものもあるんで、チャンネルが変わったものがあったら、最近やった作業だ。殆どのシングルは1テイクでやった。
スタウト:〈For Your Love〉でハープシーコードを弾いてるのはブライアン・オーガーだって聞いたけど。
レルフ:ああ、そうだよ。
スタウト:クラプトンは〈For Your Love〉に参加してるの。
レルフ:ああ、でも嫌がってたよ。実際、エリックがバンドを辞めたのはその直後だったし。



スタウト:あのアルバム(《For Your Love》)の〈Good Morning Little Schoolgirl〉にも参加してるの?
レルフ:ああ。ヴォーカルもやってるよ。
レイ:〈Sweet Music〉だけマンフレッド・マンがプロデュースしてるけど、どういう経緯で?
レルフ:ジョルジョが、シングルをプロデュースするのにマンフレッドのやり方がいいと思ったんで、マンフレッドを呼んでやらせたんだ。
レイ:それってシングルだったの?
レルフ:シングルにしようと思ってレコーディングしたんだ。
レイ:でもシングルとしては発売されなかったと。
レルフ:そう。
レイ:イギリスではリリースされなかったよね。
レルフ:ああ。



レイ:何があったの? そもそも、アルバム《Little Games》はイングランドでは出なかったよね。その頃も、ヤードバーズは人気バンドだったでしょ? 〈Little Games〉はヒット・シングルだったよ…少なくともこっちではね。イギリスではどうかわからないけどさ。
レルフ:ヒットしたの?
レイ:こっちではってこと? ああ、ヒットしたよ。ラジオでは20分に1回のペースで流れてたから。
レルフ:本当に?
レイ:本当さ。いつもだ。〈Little Games〉だろ。オレはずっと、この曲好きだったよ。
レルフ:ねえ、それ本当?
氏名不詳の女性:よく覚えてないわ…私が覚えてる限り、十分にはかかってなかったわ。
スタウト:そう感じたのは、もっとかかって欲しいと思ってたからさ。オレも、ラジオでヤードバーズが十分かかってるとは感じなかった。
レルフ:放送されなくてよかった。ヤードバーズを代表するような曲じゃなかったし。
レイ:オレもそれを言いたかったの。
レルフ:'67年の終わりか'68年には、オレたちは東西のフィルモアに出演してた。時代はますますサイケデリックになっていった。オレたちもそうなっていった。スタジオでは、プロデューサーがバンドはこうあるべきだと考えていたが、実際には、オレたちはサウンドとフィードバックを楽しんでただけだった。成り行き任せだったね。
レイ:それがキースの昔からの立ち位置だね。〈Shapes of Things〉だったら、ライヴで20分間演奏出来るだろう。
レルフ:そうだね。
レイ:…でも、〈Little Games〉は無理だ。
レルフ:絶対に出来ないね。
レイ:オレはそれを言いたかったんだ。
レルフ:…ガラクタだから。
レイ:初期の曲は20分演奏することが出来るけど、〈Tinker, Tailor, Soldier, Sailor〉みたいな後期の曲は20分間もやれないよね?
レルフ:無理だ。
レイ:オレが言おうとしてるのはそれだ。全然違うものに思えたんだ。
レルフ:その通りだよ。バンドはメンバー・チェンジを繰り返してるうちに分裂症になっていた。だから、サウンドも分裂症的になっていった。バンドって、メンバー・チェンジをする時には、必ずある種のショックに耐えているものなんだ。必ず、方向性もぼやけてしまうものなんだ。
レイ:当時、良いプロデューサーに恵まれなかったのは気の毒に思うよ。ミッキー・モストとはどんなことがあったの?
レルフ:ピーター・グラントに紹介されたよ。あいつはモストのプロダクション会社のマネジメント部門の人間だった。当時、ピーター・グラントはマネジメントの世界では駆け出しで、ヤードバーズが最初に担当したバンドだったんだ。
レイ:ピーター・グラントは今でもモストと繋がってるのかな?
レルフ:今はもう切れちゃってると思うよ。確かなことは知らないから、確実なことは言えないけどさ。
スタウト:〈Think About It〉(ヤードバーズの最後のシングルのB面)はライヴで演奏したことはあるの?
レルフ:ない。その曲はヤードバーズのシングルの裏側だ。
スタウト:そう。「昔の」ヤードバーズみたいなサウンドだ。
レルフ:そう。バンドの別の要素、バンドの重要な要素が当時のB面では生きていたんだ。

 インタビューは終了し、キースはTrade Mark of Qualityスクラップブック用に数ショットの写真撮影に応じてくれた。
 インタビューから数カ月が経過しているが、キースが別れ際に発した言葉をベイビー・レイとウィリアム・スタウトははっきりと覚えている。「キミらのせいで、人生で一番辛い晩になったよ」
 先ほど述べたように、極悪なパッケージは別にして、ペイジは自分の昔の作品を手直しして新しく見せようとするハゲタカ連中に追い回されたことはない。『クリーム』誌の1974年5月号で、ジミー・ペイジはこう語っている。「オレが作ったってことを知らないのかもね。たぶんそうだ。それをパッケージ化して売れるような重要なことなんてやってないけどさ。〈She Just Satisfies〉の再発なんてバカしかやらないだろうよ」

* * * * * * * * * *


このキース・レルフ・インタビューは『A Pig's Tale』の発売を待たずとも、以下のサイトに掲載されていました。今の時代、まずはネットを検索ですね。
http://www.keithrelf.com/relf.html

《More Golden Eggs》のさまざまなバージョンを紹介しているサイトを発見しました。いいなあ、オリジナル盤!
http://tvreck.blog.fc2.com/blog-entry-202.html?sp


   

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