2018年02月20日

レッド・ツェッペリン《Eddie》の日の別音源発見とその公表(録音者インタビュー)

 ライヴ音源をリリース予定というジミー・ペイジ直々の発表や、ブートレッグに収録された9/29の〈Immigrant Song〉のサンプルを聞いて霞んじゃったニュースですが(しかも、私が気づくの遅すぎだし)、とにかく気づいたのでここで紹介します。オフィシャル筋や裏の筋もやるべきことをやってるようですが、草の根ではこんなことが起こっていました。ボブ・ディランの1978〜79年のマイク・ミラード音源の発掘・流通で大活躍したのもJEMSグループでしたね。



レッド・ツェッペリン《Eddie》の日の別音源発見とその公表(録音者インタビュー)

聞き手:ledzepnews


 9月18日、「gbauer10」というフォロワーの数もわずかな殆ど無名のYouTubeチャンネルに、動画(正確にはスチル写真+音)がアップロードされた。レッド・ツェッペリンの1977年6月21日、ロサンゼルス公演の音源が新たに公開されたのである。有名なマイク・ミラード音源《Listen to This Eddie》と同じショウを収録したものだ。この動画をアップロードしたゲイリー・バウワーにとっては、自分が40年前に録音したものがこれほどたくさんの注目を集めるとは思いもよらなかったのだが、彼のYouTube動画は音楽系フォーラムやメーリング・リストで、レッド・ツェッペリンの伝説的コンサートの2番目の音源として広まった。現在、バウワー音源はJEMSリマスタリング・グループの支援でリマスターされ、YouTubeに再アップされている。

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 LedZepNewsではバウワーにコンタクトを取り、この音源についてバウワーにメールで話を聞いた。以下がそのインタビューの完全版だが、まずは《Listen To This Erik》と題されたリマスター・バージョンを聞いてみよう:

2017年11月4日にアップされたリマスター・バージョン


2017年9月18日にアップされたオリジナル・バージョン


まず、1977年のこのコンサートについてどんなことを覚えていますか?

 音を記録しといたおかげで、このショウの思い出は今でもとてもヴィヴィッドに残ってるよ。〈The Song Remains The Same〉が始まる直前、ボンゾがウォーミングアップをしてるとドラム・キットがライト・アップされたことから、プラントが〈Ten Years Gone〉てアナウンスする直前に、ちょっと向こうを向いたとかいう些細なことまでね。一番好きな思い出は、ペイジがボンゾのほうを向いて〈Stairway To Heaven〉のソロを弾き始め、その後、振り返って、ソロを弾きながらステージの前の方に出てきたことかなあ。今でもなお、お気に入りの箇所を聞くと、体全体が震えるよ。特に、〈The Song Remains The Same〉の最初のコードとかね。いつもさ。JHBが〈Rock And Roll〉を始めたら観客がクレイジーになったのも、大好きな思い出だ。午前1時になっていたよ。
 YouTubeにアップするために曲と曲を分割したんだけど、〈White Summer/Black Mountainside〉と〈Kashmir〉の間はカットすることが出来なかった。〈Kashmir〉を始める時、ペイジが椅子を蹴飛ばして、プラントがドラム・キットの後ろから飛び出して来たのを覚えてるよ。オレにとっては、あそこにブレイクはあっちゃいけない。そんなことしたら思い出が台無しになってしまう。オレが持ってる《Listen To This Eddie》には、そこにブレイクがあるから、聞くことが出来なかった。違うコンサートを録音したもののような気がしちゃうんだよな。
 皆が《Listen To This Eddie》を好きだってことは知ってるし、オレもそっちに収録されてる音楽は大好きだ。特にオレが録音し損ねた部分はね。でも、オレにとっては----オレだけかもしれないけど、それでもいいさ----オレのテープのほうが、あの晩、オレが聞いたショウに近いんだよ。あくまでオレの体験だから、こっちのテープのほうがオレにとっては特別なのさ。

レッド・ツェッペリンのコンサートを見たのは、この時が初めてだったんですか?

 そう。ロック・コンサートに通うようになったのが1976年のことだった。オレは26日のショウも見にいったんだ。オレの奥さんも、レッド・ツェペリンがこの先もう1度ツアーをやるとしたら(全くあり得そうにないけど)、金が目的じゃないだろうって、言ってるよ。オレがこんな話をするのは、ツェッペリンだけさ。

ショウにはどんなことを期待してたんですか?

 長時間のうるさいコンサートだと予想してたんだけど、それどころじゃなかった。当時、レッド・ツェッペリンのようなバンドは他の惑星から来た神みたいな存在だった。映画『The Song Remains The Same』は何度も見ていたし、『Rolling Stone』『Creem』等の音楽雑誌も熱心に読んでいた。MTVとかはなかったんで、レッド・ツェッペリンを生で見るのは殆ど超現実的なイベントだったんだ。

あなたはこの音源に《Listen To This Erik》というタイトルをつけましたが、これにはどんな裏話があるんですか?

 昔からの友人{ダチ}のエリックにちなんでつけたんだ。こいつはショウの前に各種ドラッグやタイ産のハッパ等を大量にやり過ぎちゃって、記憶にあるのは自分がショウを超楽しんだってことだけで(皆からもそう言われてた)、細かいことは何も覚えてないんだ。このタイトルは誰が見ても《Listen To This Eddie》のパクリだけど、エリックは友人{ダチ}だから、タイトルなんてどうでもよかったんだ。エリックは自分がこのショウと関係づけてもらえたことで喜んでるよ。

エリックのその後は?

 エリックとは何年も話してなかったんだけど(互いに320kmも離れたところで暮らしてるし)、このテープのおかげで再び連絡を取り合う仲に戻れたんだ。当時17歳だったエリックは、その後、大学で工学を修めて、何とロケット・サイエンティストになったんだぜ。文字通りね。本当さ。長い年月をかけてサターン5型の研究開発をしてる。エリックは今、新たな「名声」を得て超興奮してるよ。

これが初めて録音したコンサートだったんですか?

 2回目だね。1976年10月にはイーグルスを録音した。だから、リリースの2カ月前には〈Hotel California〉のテープを持ってたんだぜ。6月21日のショウの後、カンサスのロング・ビーチ公演の時に、レコーダーをこっそり持ち込もうとして捕まっちゃったんだ。この3公演で使ったテープ・レコーダーは、友人のお袋さんからの借り物だったんで、没収されちゃうのが怖くて、その後は録音はしなかった。そのことは超後悔してるよ。

どうしてショウを録音しようと思ったんですか?

 正直、覚えてないよ。ツェッペリンは一番好きなバンドだったから、きっと、そういう理由だったと思うよ。

コンサート会場にテープ・デッキを持ち込むのは大変だったんじゃないですか?

 そんなに大変じゃなかったね。とても小さなレコーダーだったんで、ズボンの中に隠したよ。あの頃は警備は今よりずっと緩かったし。

ショウの途中で電池に問題が生じたんですよね?

 そう。長丁場のコンサートだったから、〈Achilles Last Stand〉の途中で切れてきちゃったんだ。JEMSはピッチを修正するのに素晴らしい仕事をしてくれた。何らかの周期でもあってスピードが乱れてるわけじゃないから、修正のプロセスは超大変だったと思う。スピードが正しい状態で〈Stairway To Heaven〉を聞いた時には、マジで涙が出てきたよ。40年聞き続けてたのは、スピードがアップしたバージョンだったからね。

40年の間、テープはどうなっていたのですか?

 最初の数ヶ月はオリジナル・テープを何度も聞いてたんだけど、別のカセットにダビングした後は、JEMSがリマスターしてくれるまでは、マスター・テープは全く聞かなかったんだ。友人用にコピーをいくつか作ってあげたんだけど、まだ持っててくれるのかなあ。

定期的に聞いていたんですか? それとも、どこかにしまっちゃってたんですか?

 数え切れないくらい何度もテープを聞いたよ。コンピューターの中に移して、友人にCDRに焼いてあげたりもした。今回こうしてアップするまでは、この音源を聞いたことがあるのは12〜15人くらいだったんじゃないかな。オレがこのショウを何度聞いたかは計算できないよ。敢えて言うなら、オレ以上にこの音源を聞いた人間はいないね。
 ツェッペリン・ファンの多くは日頃からたくさんのショウを聞いてると思うけど、オレはツェッペリンを聞いてる時間の95%はこのショウだった。まわりの連中の感想コメントも全部、覚えちまったよ。「この晩はホットだな」とか「オレもこのショウを見たぜ。覚えてる」とかね。

テープを発掘して、それをリマスターしてもらった理由は?

 今年[2017年]があのコンサートの40周年だってことに気づいたんで、友人{ダチ}に向けてYouTubeに何かアップしておけば、連中が聞きたくなったら聞けるかなあって思ったんだ。でも、iTunesに入れてあるのが、オレが持ってる唯一のデジタル・コピーだったんだよ。それに、〈Moby Dick〉は6月21日のものをシアトル公演のものに取り替えてたことを忘れたまま、YouTubeにアップしちゃってたんだよ。カットが杜撰な箇所も多々あった。超シロウトな仕事だったね。
 でも、Zephead 315って名前で知られてるツェッペリン・ファンがこの動画に気づいて、レッド・ツェペリン・フォーラムでスレッドを立てて、多くの人がこの別音源について、ああじゃないかこうじゃないかって話し合い始めたんだ。完全収録されているこっちの〈Ten Years Gone〉、6/21じゃないか?とも。
 実のところ、オレはこの〈Ten Years Gone〉は聞いたことがないんだが、その時点で、オレの音源を持ってる人間は数が限られてたことを考えると、オレが録音したものでないことは確かだ。自分のYouTubeチャンネルに書き込まれたコメントを見て、そことLZフォーラムの両方で、出来る限り質問に答えた。ショウをきちんとデジタル変換すべきだよ、皆から促されたよ。

リマスタリングを手伝ってくれる人をどのように選んだんですか?

 テープのデジタル変換を手伝ってあげるよっていう申し出はたくさんの人からあったんだけど、見ず知らずの人に大切なマスター・テープは送れないよ。でも、幸運なことに、ベイエリアに住んでる友人{ダチ}がテーピング・コミュニティーでは顔の広い奴だったんで、こいつがオレのことをJEMSに話してくれたんだ。こうしてコネが出来たんで、オレはためらうことなくマスター・テープを送った。数年前だったら、こうした繋がりは出来なかっただろうなあ。音源を公開することの出来たタイミングもぴったりだったと思う。
 自分のレコーディングを聞いて狂喜してるよ。誰かの手にまかせて、こんなに良くなるとは想像もつかなかったからね。この音源の流布に関しても専門知識を持ったJEMSにおんぶにだっこだった。出来るだけたくさんの人にこのショウを無料でゲットしてもらいたかったからさ。
 オレの希望は、皆が無料でこの音源を入手出来るってことだ。だから、ネットでダウンロードしてくれよ。ダウンロードの時に分割し易いように、曲ごとにカットしてあるバージョンもアップしておいた。アービー・ホフマンも『この本を盗め』みたいな本を出してただろ。オレも、この音源を盗めって言いたい。金払って買うな。

どんな点が難しかったんですか?

 このテープにはたくさんの難点があった。40年前のもの古いテープで、しかも120分テープだ[テープが薄くて、耐久性に欠ける。保存には向いてない]。テープの1つは何度かトラブルが生じた後、枠をはずして、パッドを取り替えたんだよ。レコーディング全体を通して、1/4秒〜1/2秒の音のドロップアウトがたくさんあった。ショウの間、オレがレコーダーを動かしちゃったために生じたものだ。 幸運なことに、JEMSは前後の音から欠落を埋める機材を持っていた。素晴らしいテクノロジーだ。
 ちょっと前に触れたスピードの問題もあった。ピッチ問題を解決してくれたJEMSのメンバーは、〈Stairway To Heaven〉は2度と聞きたくないって言ってたよ! ちゃんと聞ける状態になったのは、彼の献身的努力のおかげだよ。

あなたはこのテープがツェッペリン・ファンにこんなに興味を持たれると思っていましたか? それとも、予想外でビックリですか?

 反応に超ビックリしてるよ。この音源については、2013年にレッド・ツェッペリン・フォーラムに投稿したことがあるんだ。6月21日のコンサートに関する書き込みを見て、それに回答する形でね。オレはこのショウを見たよ、自分で録音したテープも持ってるよって。まわりの反応を見たかったっていうのもある。だから、この時には何の反応もなかったので、大きな需要はないと思ってたんだ。なにげない1つの書き込みが、突然、堰{せき}を開いてしまうなんて野暮な言い方もあるけど、でも、それが本当に起こっちゃったんだよ。たくさんの人がオレのレコーディングを楽しんで聞いてくれていることに、オレは正直、ワクワクしてるよ。

このインタビューの後、バウワーは内容を補足するためにこんなコメントをメールで寄せてくれた

 1つはっきりさせておきたいんだけど、オレは自分のYouTubeチャンネルから金銭的利益を得るつもりはないんだ。今後もそうだ。オレ自身、ネットでたくさんのものをダウンロードしてるんで、何かお返しが出来ればと思っている。
 他の動画もチェックしてもらえたら嬉しいね。パール・ジャム(伝説の〈Corduroy〉を聞いてくれ)やスプリングスティーン、U2、テンプル・オブ・ザ・ドッグ(〈Achilles Last Stand〉をやってる)、ニール・ヤング等のなかなかいいレコーディングもあるんだ。全部、前から5列目以内で録音したものだ。


The original article "How the second source of Led Zeppelin's June 21, 1977 show was released and remastered" by ledzepnews
http://ledzepnews.com/2017/11/13/led-zeppelin-june-21-1977-los-angeles-show-listen-to-this-erik-gary-bauer-interview/
Reprinted by permission



   
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2015年09月29日

ロバート・プラント死亡説

 ロバート・プラント死亡説なんてもんが流れたそうです。当然ガセねた。

http://www.ibtimes.co.in/hoax-busted-report-claiming-led-zepplin-lead-singer-robert-plant-dead-fake-648259

 
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2014年11月09日

オカルト史観でロックを語る『Season of the Witch』著者インタビュー

 今年の秋のロック系読書は、まず、ボブ・ディランの元側近の回想録『Another Side of Bob Dylan: A Personal History on the Road and Off the Tracks』(ヴィクター・マイムーデス談/ジェイコブ・マイムーデス著)から始まり、2冊目には、新刊ではないのですが(10年以上前に出た)、ジェリー・ガルシアのギタテクだった人の回想録『Home Before Daylight: My Life on the Road with the Grateful Dead』(スティーヴ・パリッシュ著)を読んでいました。が、読み終わらないうちにピーター・ビバーガル著『Season of the Witch: How the Occult Saved Rock and Roll』が届いてしまい、こっちがあまりに面白いので、ギタテク本はちょっと後回しになっています。

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 この本では、ビートルズは絶大な人気と影響力によってロックのオカルト化の確固たる素地を作っちゃったバンドになっています。ロックを東洋思想(つまり、キリスト教から見たら異教の神々)と結び付け、オレたちはキリストより人気があるぞ発言で、ロックが反キリストのスポークスマンになりうるというイメージを作り(本人にその気はなくても)、ポール死亡説騒動でレコードの逆回転再生やジャケットの深読み的解釈を一気に広めた(こっちも本人にその気はなかった)のが、ビートルズなのです。この本のタイトルにもなった「Season Of The Witch」を歌ったドノヴァンの影響も見逃すことは出来ないのだとか。
 もちろん、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、オジー・オズボーン、サイキックTV、スレイヤーといったこの手の話題の時には常連の人達も登場しますが、オカルト(広義にはファンタジー、SFも含む)映画やオカルト小説、オカルト漫画、オカルト・アニメ、オカルト・ゲームが、それぞれの時代のロック・ファン与えた影響も見逃していません。著者のヲタ度高いです。
 『Season Of The Witch』に残念な部分があるとしたら、写真等のビジュアル・イメージが皆無(本当にゼロ)であることです。この本を読む際に、横に置いとくと便利なのが『The Illustrated Beast: An Aleister Crowley Scrapbook (Weiser News)』(サンディー・ロバートソン著)でしょう。基本的にはアレイスター・クロウリーの生涯を豊富な図版とともに綴った本なのですが、ロバートソンはドアーズのマニアとしても知られている人で、ロックへの影響にも多数のページが割かれています。
 DANGEROUS MINDという面白サイトにピーター・ビバーガルが新著について語っているインタビューがあるのを発見したので、今回はそれを紹介しようと思いますが、インタビュー中に出て来るケネス・アンガーの映画作品のyoutube動画を参考資料として貼っておきます。まず、ミック・ジャガーがサウンドトラックを担当した『Invocation Of My Demon Brother』はこれです:



 ジミー・ペイジがサウンドトラックの制作を依頼されたものの、完成させることが出来ず、結局、ボビー・ボーソレイユに作ってもらった『Lucifer Rising』はこれです:



 怪しさ全開ですね。ちなみにジミー・ペイジ・バージョンのサウンドトラックはこれです:



 オフィシャル・サイトでの通販オンリーでアナログ・レコードが発売されましたが、送料を入れると結構な金額になってしまうのが難です。

  



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